西武HDが飛躍の鍵を握っている

もっとも、富良野が、ニセコのような世界的なラグジュアリースキーリゾートになるためには、引き続き西武HDが鍵を握ることになる。なぜなら、富良野スキー場の保有・運営だけでなく、旗艦ホテルとして、富良野プリンスホテルと新富良野プリンスホテルを有しているからだ。

しかしながら、西武HDが、バブル崩壊後以降、富良野に経営資源を積極的に投入してきたかというとそうでもない印象だ。

実際、富良野プリンスホテルは1974年、新富良野プリンスホテルは1988年の開業で、施設自体の老朽化も進んでいる。

2001年に富良野ゴルフコースを開設(2022年9月にGICに売却予定)、2018年に新富良野プリンスホテルに新レストランをオープンするなど手は打っているが、ホテルの大規模改修も想定される。富良野プリンスホテルが長期休業中なのも気になる。過去にニセコを売却し、今回、苗場や万座温泉を売却する西武HDは、富良野を持続的に維持し、どのように再開発を行い、ブランド価値を高めていくのだろうか。

写真=iStock.com/mahiruysal
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ヒトの動きは止まっても、カネの動きは止まらない

なお、西武HDでは、中核総合不動産会社である西武リアルティソリューションズが中心となり、2024年度以降本格化する品川・高輪など都心エリアの大規模再開発に加えて、「軽井沢・箱根・富良野などの知名度の高いリゾートについても、サステナビリティを意識した上で、再開発に注力する」(西武ホールディングス「当社グループのホテル・レジャー事業の一部資産に関するGICとの基本協定書締結のお知らせ」2022年2月10日)としている。

いずれにせよ、地元にとっても、ホテルやリフトなどがリニューアルされ、ホテルコンドミニアムや別荘が増え、国内外の観光客が増えることで、雇用や税収が増えれば恩恵のある話だ。富良野においても、インバウンドゼロでヒトの動きは止まっても、カネの動きが止まることはなさそうだ。

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