あきらめる前に相談を

上司や人事部に、思い切って腹を割って相談してみたところ、子育てや介護など、個人の事情に合わせて勤務時間を変えてもらえたりと、協力が得られたというケースは増えています。2022年度からは、男性の育休取得を促進する改正育児・介護休業法が施行され、会社として、出産や子育てなどの社員のライフイベントに理解を示し、制度に柔軟性を持たせる取り組みが広がっています。

決められた制度を社員全員に適応させるのではなく、個々の状況に合わせて寄り添った対応を行う会社は、ひと昔前に比べてぐっと増えました。自分の将来のライフステージの変化について不安を持っているなら、何もしないであきらめてしまうのではなく、上司や人事部に相談してみてはいかがでしょうか。

目的がないまま「新しいことに挑戦」

ここからは、女性に限らず、一般的に多い転職の失敗例をご紹介します。

何年も同じことをしていれば「飽きる」のは当然のことです。どの仕事に転職しても、だいたい3年くらい経つと、こうした「倦怠期」が訪れます。しかし、その度に転職していてはキャリアの積み重ねができず、将来に不利に働く可能性があります。

倦怠期を打開しようと、現職に特段大きな不満がない状態で転職したところ、離れたことで初めて、これまで見えていなかった以前の職場の良さに気付くこともあります。例えば、新卒で大手企業に入社した人に多いのですが、転職してみて初めて、大手企業のネームバリュー、手厚い福利厚生、新卒入社の同期のつながり、安定した給与のありがたさがわかる、ということがあります。また、転職先で新たに人間関係を作り上げるのは大変ですから、心許せる同僚や上司と仕事ができていた前職の職場環境を振り返って、後悔することも。

「マンネリ化してきたな」と感じた時は、上司に相談して新たな役割を与えてもらったり、部署異動を試みたり、副業をしてみるというのも選択肢のひとつです。

SNSで目にした情報に影響されることもあるでしょう。学生時代の友人が、憧れの有名企業に転職したことを知ったり、好きなインフルエンサーが趣味や好きなことを仕事にして活躍している様子を見たりすることで、「私も転職を」という気持ちになってしまうというわけです。

こうした、誰かへの「憧れ」の気持ちから大きなキャリアチェンジを試みる人がいますが、憧れの気持ちは、その人が自分にないものを持っているから起こるもの。少しでも近づけるよう、スキルアップを目指して努力するのは良いことですが、自分に合わない仕事に無理なチャレンジをしてしまい、結局転職先もすぐに辞めてしまう人が、毎年必ずいらっしゃいます。