サイコロのギャンブルで考えてみると……

そんなの当たり前だろ、と思うかもしれませんが、数字が複雑になればなるほど、期待値は見えにくくなります。

次に、サイコロを使ったギャンブルを考えてみましょう。サイコロを振って、出た目に1万円をかけた金額がもらえるギャンブルがあるとします。1が出れば1万円。2が出れば2万円。6が出れば6万円です。

写真=iStock.com/Marat Musabirov
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サイコロは機械によって振られるので、イカサマはできないこととします。サイコロの目が出る確率はそれぞれ6分の1。期待値の計算はこうなります。

・1/6×1万円+1/6×2万円+1/6×3万円+1/6×4万円+1/6×5万円+1/6×6万円=3.5万円

1/6×1万円が「1が出た場合」、1/6×2万円が「2が出た場合」を表します。それらの数字を全部足していくことで、期待値が割り出せます。

ここでの期待値は「3.5万円」、すなわち3万5000円となりました。

ギャンブルは常に「投資金額よりも期待値が低い」

つまり、もしこのギャンブルの参加費が3万円だったら、やり続けることで確実に儲けることができるということになります(途中で手持ちのお金が続かなくなれば別ですが)。一方、参加費が3万6000円だとしたら、最初のうちは儲かっても、続ければ続けるほど損をすることになります。

ちなみに世の中のギャンブルはほぼすべて、「投資金額よりも期待値が低い」ようにできています。それは当然の話で、期待値よりも投資金額が少ないギャンブルがあったら、誰でもいくらでも儲けられることになり、運営が成り立ちません。

ではなぜ、人はギャンブルをやるのか。それは「儲かるかもしれない」というワクワク感を買っているということなのでしょう。

ギャンブルならば少ない確率にかけて夢を追うのもいいかもしれませんが、ビジネスではそれはご法度です。ビジネスはしっかりと確率を計算し、それに基づいて行われねばなりません。その結果によって社員やステークホルダー、あるいは世間に大きな迷惑を与える可能性があるからです。