最初のうちは想定通りにいかなくても焦らない

ここから得られる教訓は二つあります。

一つは、何事も成功の確率がどのくらいあるかを考えてから、行動を起こすべきだということ。低い可能性にかけてアクションを起こし、たまたま最初にまぐれ当たりしたとしても、結局はあるべき数値に戻っていってしまうからです。

ビジネスはギャンブルではありません。長く活動を続けるためには、最初に確率を考えることが不可欠です。

そしてもう一つは、「最初のうちは、想定通りにいかなくても焦らない」こと。確率が50%のはずのコイントスでも、表だけ、あるいは裏だけが3回も4回も出続けることはあります。確率で言えば、3回連続で同じ面が出る確率は12.5%、4回連続だと6.25%。決してレアな数字ではありません。

しかし、人は失敗が続くと不安に駆られるものです。そして、もう少し頑張れば成果が出るかもしれない状況にもかかわらず、手を引いてしまう。それは非常にもったいないことです。

ゲームにおける「期待値」の考え方

さて、ここで覚えておいてほしい言葉があります。それが「期待値」です。確率を「1回のトライで得られる見込み」の値に落とし込んだものです。

先ほどのゲームは、コイントスを2回して、2回連続で表が出たら100円をもらえる、というルールでした。それ以外の場合はゼロ円です。

この場合の期待値は、以下の計算で求めます。

・2回連続で表が出る確率25%×100円=25円

期待値は「25円」になります。「このゲームに挑戦することで、25円を得ることができるだろう」という予測が立つ、ということです。

最初のうちは100円が連続で手に入ったり、一方でひたすらゼロ円が続いたりすることがあるかもしれません。しかし、やればやるほどもらえる額の平均値は25円に近づいていくはずです。

もし、このゲームの参加費が「20円」だったらどうでしょうか。やればやるほど多くのお金を得ることができるでしょう。一方、参加費が「30円」ならば、やればやるほどお金が減っていく、ということになります。