「期待値」の算出方法はビジネスにどう生かせるか
期待値をビジネスに活かすとしたら、どのような方法が考えられるでしょうか。
以下の問いを考えてみてください。
自動車メーカーでマーケティングの仕事をしているAさん。今、予算内でどんな広告キャンペーンを打つかをチーム内で議論しています。テレビCMは過去の経験上、大外れすることは少なく、最高で1000万円、最悪でも500万円の広告効果が見込めます。
一方、最近はネットのキャンペーンに注目が集まっています。これまでやってきたネットキャンペーンの確率は五分五分でしたが、成功するとかなりの効果があるのが特徴。広告効果は最高で2000万円、ただ、外れるとテレビCM以下の300万円くらいのこともあります。
社内ではああでもない、こうでもないと議論が続いていますが……。果たして、どのように考えればよいのでしょうか。
では早速、期待値を計算してみましょう。
ここでの広告効果は、キャンペーンによる売上押し上げ効果(キャンペーンによって発生した売上)と考えると理解しやすいと思います。たとえば、お買い得価格で商品を買えるキャンペーンを展開するとして、それをテレビCMで告知するのか、ネットキャンペーンで告知するのか、といった問題になります。
仮でいいから具体的な確率と数字を出すことが重要
テレビCMは「大外れすることが少ない」ということで、仮に「成功率75%」と考えてみましょう。成功すると1000万円、失敗すると500万円の売上増が見込める、という仮定にて計算をします。
・1000万円×75%(成功のケース)+500万円×25%(失敗のケース)=875万円
一方、ネットキャンペーンのほうは「五分五分」ということで、成功も失敗も50%ずつで計算します。すると、以下のような計算になります。
・2000万円×50%(成功のケース)+300万円×50%(失敗のケース)=1150万円
このように、あくまで「期待値」の上では、ネットキャンペーンに軍配が上がることになります。
また、期待値という具体的な金額が見えれば、このキャンペーンにいくらまで予算を使ってもいいかが見えてきます。広告コスト、お買い得価格の設定など、予算を分解して考えることが必要になるでしょう。
ここで上げた確率はあくまで仮ですし、得られる広告効果ももちろん推定です。「成功すれば1000万円、失敗すれば500万円」などと単純に切り分けられるものではなく、結果がその中間に収まることも多いでしょう。
しかし、ここで重要なのは「議論のベースを作ること」です。仮でもいいので具体的な確率と数字を出すことで、議論が前に進むようになるのです。