業界内の上場企業のIR資料は宝の山
「儲かっている」会社を探すための情報チャネル
私が企業情報を得るために常に使っている情報チャネルをいくつか紹介する。ここで紹介する情報チャネルを活用し、自分が対象とする事業領域で儲かっている会社を調べ尽くそう。
ここで儲かっている会社を探すことが出来なければその事業領域は基本的に駄目である。他人が出来ないことは自分も出来ない。「自分は他人とは違うから儲けられる」なんて考えるのはやめよう。
人間としての基本性能が特異であり、他人をアウトパフォーム出来る人間なんて私を含めほぼいないし、成功者を見渡しても人間としての基本性能が成功要因であったと考えられる人間は見当たらない。
情報チャネル1.IR
上場企業は投資家用に財務情報の詳細から今後の方針までを開示する義務を負っている。これは宝の山である。ビジネスの検討対象領域を定めたら、業界内の上場企業のIR資料は全て見よう。
さらに、常に新しいトレンドをキャッチするために新規上場企業についての情報は検討対象領域でなくとも目を通す習慣を身につけるとよいだろう。
決算説明資料からは財務情報でどの程度儲かっているのかを素早く把握出来、変動要因に対する説明からは市場内部のトレンドを把握することが出来る。儲かっている企業が何故売れているのか、何故高い利益率を上げることが出来ているのかを調べよう。
企業によっては詳細に説明しているが、IRには財務数値だけしか掲載されず、競争力を十分に探れない場合も多い。その場合は後述する営業資料やLPという実際の顧客向け情報を見よう。そこには必ず何故他社ではなく自社を選ぶべきかの記述がある。
セグメント別の売上や営業利益だけでなく結局、何がいくらで誰に何故売れているのか、ということを知る必要がある。これに対して自分はパンチを浴びせるのだ。
調査段階から「この商品を買っているのはこのような理由だと思いますが、私の提案のほうがいいですよ。なぜなら……」などと、どう語るかを意識して調査を進めるべきである。
また他にも、IRで注目をするべきポイントがいくつかある。まず注目したいのは売上規模・利益率およびその額、コスト構造である。コスト構造とは何にコストがかかっているかの分析である。これを見ると、そのビジネスをコピーするには何が必要か把握出来る。
次に変動要因である。IRには変動があった項目に対して要因の説明がなされている。売上が大きく進捗したのであればなぜ進捗したのか。販管費が上がっているなら何故上がっているのか。これらについての記載がある。
売上進捗要因を見ると、何をすれば成功するか教えてくれるわけだ。販管費が上がっているなら、その市場では競争が過熱しており顧客獲得が厳しくなっているという市場環境を示しているのかもしれない。
さらにIRには今後の方針も出ている。その企業は少なくともその方針をとると儲かると思っているということだ。これが完全に正しいとは言えないが、自分がとるべき方針に対する大きなヒントになるだろう。