「目標→計画→行動」という順番が効率化のカギ

なにかをはじめようとするとき、究極的に大切なことは、「まず目標を明確にする」なのである。逆に言えば、先に目標を明確にしない人は、どこにも行けないということでもある。

そして、当然この【目標の法則】の効果は、ビジネスのシーンでも同じだ。漫然と仕事をこなしても意味はなく、「18時までに業務をすべて終わらせる」「マネージャーとして、部下の数字を達成させる」という明確な目標を立て、その目標と現状との差分を埋めるための計画を立て、行動していく。結果、そこで見つけた方法論は、他の部署に異動しても必ず役に立つ。仕事ができる人は、じつはこうやって成果をあげているのだ。

いいだろうか。効率的に成果をあげるためのコツは、つねに「目標→計画→行動」という順で進めることである。断じて、「行動→計画→目標」ではないのだ。

【目標の法則】には、忘れてはいけない重要なポイントがもう1つある。それは、この「目標を立てる技術」は、自分で身につけていったほうがいい、ということだ。

自分で自分の目標を立てられるか、逆に言えば、他人に目標を立ててもらうことしかできないか、この違いはとても大きい。他人が、自分の目標を立ててくれることに強く期待するのは、再現性がない。とても運任せな話だ。この状態では、【目標の法則】を使いこなすことはできない。やはり「自分で」目標を立てるクセをつけるべきなのだ。

目標到達までのプロセスの「分解」を意識する

【目標の法則】については、わかった。まず目標を掲げ、その目標から逆算するかたちで計画を立て、行動するべき、ということだ。では、その計画自体をもっとも効率的に、最短でこなせるようになるための方法とはなにか?

それがスピードをアップさせる法則の2つめ、【分解の法則】だ。何事も分けて考えれば早くなる、ということである。反対に言えば、仕事が遅いと言われる人は、ほぼ100%、分解して考えられていない。作業スピードを上げるために重要なのは、「分解すること」に尽きる。細かい話になるが、とても大切な基本なので、丁寧に説明していきたい。

たとえば、あなたが野球をしていたとしよう。いま、自分が投げられる最高球速が130キロで、ここから10キロ上げて140キロにしたい、と思ったら、どうするべきだろうか?

まず、要素を分解して考えることだ。この場合、「球速=筋力×筋力の出力率×投球フォームの効率性」と分解したとしよう。こうやって分解すれば、どんな素人でも、課題を構造的に理解しやすくなる。

球速を上げるためのボトルネック(=最大の阻害要因)は、筋力なのか? 投球フォームなのか? それとも、投げるときの意識の問題なのか? つまり、「自分の課題がどこにあるのか?」がわかりやすくなる。野球の素人である私でさえ、仮説が立てやすくなるのだ。