※本稿は、ジム・ロジャーズ/渡邉美樹(著)、花輪陽子/アレックス・南・レッドヘッド(監修・翻訳)『「大暴落」 金融バブル大崩壊と日本破綻のシナリオ』(プレジデント社)の一部を抜粋・再編集したものです。
いよいよリーマンショックを超える世界大不況が到来か
【ジム・ロジャーズ(以下、ロジャーズ)】2022年の年末、世界中の多くのエコノミストが「2023年中に非常に高い確率で不況が到来する」と言っていました。しかし、その予測は当たりませんでした。実は大勢の人が「くる」と言うときほど、不況はこないものなのです。
では、いつくるのか。私は、2024年以降にくると考えています。そして、その兆候はすでに現れています。
たとえば、インフレが高止まりしていることや、金利が高くなっていることは、遠からずやってくる不況の兆候だと言えます。また、世界中の株式相場に新たな参加者たちが集まっていること。これも不況の前触れです。ここ数年の間に新しく株式投資をはじめた人たちは「お金を儲けるのはこんなにも簡単だ」と思っているかもしれませんが、そうしたときに不況は到来しやすいのです。
【渡邉美樹・ワタミ会長(以下、渡邉)】最近の世界情勢を見ていると、世界の国々の金利が高止まりしはじめたと感じます。各国がしっかりとお金の回収をはじめているという印象があります。各国の状況を経営的な視点で見ると、「本当に世界不況というのはくるのだろうか?」と疑問を感じます。なぜなら、世界経済は十分にコントロールされつつあると思うからです。
ただ、日本の状況はまったく異なります。日銀はマイナス金利を解除し、年振りの利上げを決定したものの、短期の政策金利は0~0.1%です。これは、本格的に金利を上げると、日銀が債務超過に陥り、国家予算を組めなくなるからです。
一方で不動産バブルがはじけた中国による台湾侵攻が世界不況の引き金になることも考えられます。しかし、それよりも日本の経済破綻が世界に影響を及ぼす可能性のほうが高いと考えています。
私は「日本の問題が世界にどの程度の影響を与える」のか「それが世界不況を招く」のかどうかを、いつも考えています。