実際に会って話すことが大事
ここで大切なのは、実際に会って話すことを重視することです。
対話は、対面でなければ成立しません。人間は人間という動物ですから。だから対面で──Zoomもチャットよりはましです、相手の顔が見えますから。ビデオ機能があるだけでもチャットより良いですが、十分ではありません。相手のにおいを知る必要があります。
人間の交流は五感を通じた部分が大きいことがわかっています。視覚、嗅覚、聴覚、触覚、さまざまな感覚で相手の存在を感じ取るのです。これはどうしても欠かせません。ソーシャルディスタンスの問題点の1つはまさにここにあります。私たちの社会で分極化が進んだのは偶然ではありません。相手を見て、においをかいで、触れていないからなのです。
哲学者には対話を義務づけるべき
しかし残念ながら、多くの哲学者は対話したがりません。哲学を職業としている人たちには対話を義務づけるべきだと思います。私は国に雇われている立場です。日本でも東大とか京大とか、国立大学にいる哲学の教授はそうでしょう。そのような哲学者たちに民主主義ミーティングを運営させればいいのです。
無理強いはいけませんが、彼らは国の職員ですから、民主主義に奉仕すべきです。兵役よりはずっとましですよ。兵役〔ミリタリーサービス〕の代わりに民主主義役務〔デモクラシーサービス〕に服するわけです。