ホテル、コンドミニアムの開発が続いている
コロナ後のインバウンド回復を見込んだ投資開発も続いている。
「ニセコHANAZONOリゾート」では、海外富裕層も満足するようなスキー設備の拡充に余念がない。刷新したフード付き6人乗りリフトは、本革レザーシートとヒーティング、足掛けも備えている。また、日本初導入となる、イタリアのピニンファリーナがデザインしたフランス製高級ゴンドラのシートは本革だ。サスペンションシステム搭載で、スピードは業界最高水準の秒速5メートルである。
「ニセコ東急 グラン・ヒラフスキー場」近くでは、高級ホテルコンドミニアム「マティエ・ニセコ」の建設が急ピッチで進んでいる。韓国の大手デベロッパー「ハンファホテルズアンドリゾート」が手掛けており、韓国系がニセコで大型開発を手掛けるのは初めてだ。建物は地下2階、地上7階建てでスキーイン・スキーアウトが可能だ。リストサザビーズによると、羊蹄山を一望できる5ベッドルーム約400m2のペントハウスの販売価格はなんと14億円を超える。2023年末には入居可能予定だ。
同じく2023年には、「アマン ニセコ(シンガポール)」と「ニュー ワールド ラ プルーム ニセコ リゾート(香港)」、再来年の2024年には、「ニッコースタイルニセコ HANAZONO(日本)」「アルクザカストリート(香港)」「ザ・パピリオンズ・ニセコ(香港)」、2025年には「北海道ニセコ SIX SENSES(日本)」カペラの「ニセコ花園ヒルズ(シンガポール)」と、外資系最高級ホテルやホテルコンドミニアムに、大型ショッピングストリートなど国内外の資本による開発計画がめじろ押しなのだ(マリブジャパン調べ)。
コロナ禍でもニセコ投資が続く3つの要因
なぜ、ニセコでは、コロナ禍下でも、不動産投資や開発が継続しているのだろうか。その理由には、①外資系最高級ホテルの進出、②世界的なカネ余り、③海外富裕層とホテルコンドミニアムのニーズ、が挙げられる。
1つ目から説明しよう。外資系最高級ホテルでは、前述したパークハイアットやリッツなどに続き、この先もアマンやシックスセンシズなどの建設計画が進んでおり、これら外資系最高級ホテル建設は、香港の大手通信企業PCCWグループやマレーシアの大手財閥系企業YTLグループなど、海外資本による大規模なリゾート計画の一環として行われている。
こうしたホテルは、自社投資かフランチャイズ契約かにかかわらず、しがらみや先入観なく、単純にビジネスとして採算がとれるのか、成長性はあるのか、自社ブランドに貢献するのか、といった合理的な観点から立地や投資が選ばれている。このため、コロナ禍下においても、外資系最高級ホテルの開業が継続していることを一つの判断材料として、海外の富裕層や投資家は中長期的視点でニセコへの不動産投資を行うのだ。日本では、ニセコに加え、東京や京都や沖縄のように、外資系最高級ホテルがある地は、別荘地やコンドミニアム、セカンドハウス需要も高く、国内外の富裕層などにより、投資対象として売買されることになる。