内部統制制度よりSPCの実査ルール
内部統制制度のモデルとなった米国の法律はエンロン事件をきっかけに制定されたものだが、皮肉なことにオリンパスは、SPC(特別目的会社)というエンロンが用いたのと同じ隠蔽方法を使っている。
監査法人が投資金融資産がどのようなものかを、直接にその契約書と照合しておけば、オリンパスの不正はもっと早く見抜けたはずである。
内部統制制度という効果のない方法を導入する代わりに、SPCの実査をきっちりと行うようにルールを変えておくべきだった。この失敗を契機に内部統制制度の法律を廃止すべきである。
最近の法改正の焦点となっているのは、社外の独立取締役の義務化である。独立取締役は、経営陣が行おうとしている意思決定の妥当性を、独立した外部者の視点から監視できる。この点は、社外取締役の重要なメリットであるが、社外取締役には限界もある。
その第一は、会社についての情報が不足しているという限界である。月に1回の取締役会に出席するだけでは、会社が行おうとしている決定の妥当性を判断するだけの情報を得ることは難しい。
しかも、どの議題を取締役会に乗せるかは経営陣によって決めることができる。情報操作に引っかかりやすいのである。
第二の限界は、社外取締役がきっちりと仕事をするように動機づけるのが難しいこと。大きな報酬を払えば動機づけの効果があるが、そうすると任免権を持つ経営陣からの独立性が低下する危険がある。そのためには、報酬を低額に抑えておく必要があり、動機づけが難しいのだ。
このほかにも社外取締役の独立性を担保できるかどうかについて疑問が提出されることが多い。
アメリカでも、社外取締役の独立性が疑問視されることがある。社外取締役は、過去の経歴と現在の職務を見れば、会社との直接的な利害関係がないことが判定できるが、それだけで十分だろうか。