貯蓄額によってへそくりの割合を変える

「使う」「貯める」「増やす」へそくりそれぞれの割合は、どれくらいお金が貯まっているかによって違ってきます。この割合をどうしたらいいか、ご説明しましょう。

◇「新へそくり三分法」をスタートしたばかりの方

「へそくり人」新人時代、「使う」へそくりの普通預金口座に、まだ生活費の2カ月から半年分のお金が貯まっていない方は、この口座にお金を貯めることを最優先しましょう。

普通預金、定期預金、世界株投信の割合を「5対4対1」にします。手取り収入20万円なら、2万円を、1万円、8000円、2000円に振り分けます。生活費口座に、月末、お金が残っている場合は、「使う」へそくりの普通預金口座に入れておきましょう。

◇「使う」へそくりが貯まった方

「使う」へそくりの普通預金口座に生活費の2カ月から半年分程度貯まったら、次は「貯めるへそくり、「増やす」へそくりの割合を増やします。

定期預金と世界株投信の割合の目安は「4対1」です。手取り収入20万円なら、2万円のうち定期預金に1万6000円、世界株投信に4000円を振り分けます。5年以内に大きなライフイベントの予定がある方は、ライフイベントの予算から逆算して割合を決めましょう。

◇「貯める」へそくりも貯まった方

すでに定期預金に5年以内に使う予定のお金が貯まった方は、毎月のへそくり全額で、世界株投信を買っていきます。

写真=iStock.com/arthon meekodong
※写真はイメージです

控えめに見積もっても運用次第で30年で900万円の差が出る

ここからは、「新へそくり三分法」を実行した方と、積み立て定期預金のみの方のお金の増え方が、どのくらい違うのか、具体的に確認してみましょう。

今、普通預金に100万円、定期預金に500万円貯まった方が、今後30年間にわたり、毎月2万円ずつ定期預金で積み立てる場合と、「新へそくり三分法」で、毎月2万円ずつ世界株投信を買い続ける場合とを比較してみます。

今後30年間の金利を、普通預金0.1%(現状の100倍)、定期預金0.5%(現状の250倍)と仮定します。世界中の株式の過去10年間の平均リターンは年率10%程度ですが、慎重に見積もって、その半分の5%とします。いずれも税金は考慮しません。

まずは、定期預金で毎月2万円ずつ30年間つみたてを続ける場合のシミュレーションです。

普通預金は30年で3万円増えて、100万円が103万円になります。定期預金500万円は、およそ81万円増えて581万円になります。加えて、毎月2万円ずつ定期預金で積み立てると、720万円の元本が約777万円に増えます。合計は、103万円+581万円+777万円で、1461万円です。

山口京子『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)

続いて、「使う」へそくり(普通預金)と「貯める」へそくり(定期預金)はそのままにして、「増やす」へそくりで毎月2万円ずつ世界株投信を30年間買い続ける場合のシミュレーションです。

普通預金は103万円に、定期預金500万円は581万円に、毎月2万円ずつ世界株投信を購入すると、30年で1664万円になります。合計は、103万円+581万円+1664万円で、2348万円になります。

「新へそくり三分法」で世界株投信を買った場合と、積み立て定期預金だけを続けた場合の差は900万円ほどの差となりました。収入やへそくる金額が同じでも、「新へそくり三分法」を実行することで、将来の選択肢が広がることを実感していただけたでしょうか。

「新へそくり三分法」に必要なのは、1に仕込むこと、2に継続、3に存在を忘れる事です。一度、仕組みさえつくってしまえば、後は放置しておいて大丈夫。これまでどおりのご自身の生活スタイルを継続しながら、日々の生活を楽しむことに邁進すればいいのです。

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