「新へそくり三分法」の3つの特色

「新へそくり三分法」には3つの優れた特色があります。

1つ目は、「近い将来使うお金」、「老後に必要となるお金」を、あらかじめ「日常の生活費」と分けることで、日々のやりくりがシンプルになり、お金をストレスなく安心して使えることです。

2つ目は、教育資金やマイホームの頭金など近い将来使う予定のお金、家族の病気や失業などのピンチに備えるお金を「貯める」へそくりとして定期預金にキープしておくことで、突発的な事件や災害、株価の大暴落などが起きても落ち着いて対処でき、大切なライフイベントを着実に実行することができることです。

3つ目は、将来の老後に必要となるお金、「増やす」へそくりを同時にスタートさせることで、時間を味方につけ、投資という、ある程度のリスクを取りながら、預金より高いリターンを見込める方法で増やしていくことが可能になることです。

これらの特色を兼ね備えた「新へそくり三分法」は、難しいお金の勉強は必要なし、面倒な口座の管理も必要なし、一度仕組みをつくってしまえば、誰もが平等に持っている時間というお宝が、あなたの目標の達成をしっかり後押ししてくれる優れものなのです。

普通口座に入れるのは生活費の半年程度のお金で十分

3つのへそくりを、もう少し詳しく見ていきましょう。

1.「使う」へそくり:普通預金

「使う」へそくりは、普通預金に入れておきます。普通預金に入れておく金額の目安は、生活費の2カ月から多くても半年分とします。ここには、お金を入れすぎないことが大切です。私たちは「アルトツカーウ」生き物なので、ここにお金を入れたら最後、気づかぬうちに蒸発すると覚えておいてください。

生活費20万円の人なら、普通預金に入れるお金は50万円くらいがいいでしょう。たとえ定期預金に500万円貯まっていても、ココロはいつも「50万円持っている私」で日々のやりくりをすることが肝心です。日常の生活費を出し入れする普通預金には、くれぐれもお金を入れすぎないようにして、残り2つのへそくりは、普段はあなたの目から隠しておくことが大事です。

1年は「特別な出費」だらけ

なぜ、普通預金口座に生活費の2カ月~半年分のお金を、あらかじめ貯めておく必要があるのでしょうか。

それは、生活費以外の特別支出に備えるためです。家計診断をしていて、「今月はたまたまなんです」という言い訳を数えきれないくらい聞いてきました。その「たまたま」、本当に今月だけでしょうか。

1月はお正月で、お年玉や帰省の費用がかかります。2月はバレンタインに入試の季節、3月は新年度の準備、4月はゴールデンウィーク、その後も、お中元に夏休みにお盆……、間に家族のお誕生日があって、記念日が来て、何の前触れもなく家電が壊れ、冠婚葬祭もやってきます。そう、実は1年中、毎月特別なイベントだらけです。「今月はたまたまだから、来月からは貯められる」なんて思っていると、貯められる日は永遠にやって来ません。

桜を見上げる小学1年生
写真=iStock.com/nikoniko_happy
※写真はイメージです

毎月、給料や報酬の振り込まれる口座をそのまま生活費の口座にすると管理は簡単でいいのですが、少しでも残高があると油断して使ってしまう人は、普通預金口座を2つ用意して、「生活費口座」と「使う」へそくり口座に分けておくことをお勧めします。「使う」へそくり口座は、言い訳をしないための特別支出用です。お金の移動は、わざわざATMに行っておろさなくてもいいように、ネットバンキングを利用しましょう。