住人の半分が新華僑という団地の存在

このチャイナタウンが形成された背景には、周辺に居住する多数の新華僑の存在があった。

山下清海『横浜中華街』(筑摩選書)

西川口駅の東側から徒歩6分のところに、日本住宅公団(UR都市機構の前身)が1966年に団地を建設した。

この西川口市街地住宅(全192戸)は老朽化し、居住者の高齢化も進み、空き室も増えていった。そこに新華僑が集住するようになったのである。

UR賃貸住宅の場合、入居に際して、保証人・礼金・手数料・更新料が不要で、しかも国籍の制限はない。

西川口駅の隣駅である蕨駅に近いUR川口芝園団地(1970年代に建設)でも、今では5000人近い住民の半数以上が中国籍となっている(川口芝園団地の自治会は、日中両国の住民の交流に積極的に取り組んできたが、多文化共生の先進的事例として、国際交流基金の2017年度地球市民賞を受賞した)。

徐々に観光客が増えているニューチャイナタウン

西川口チャイナタウンも、池袋チャイナタウンと同様、まずは同胞相手のチャイナタウンとして形成された。

そしてその後週末には、町中華では味わえない本場の中国料理を求めて、遠方より西川口チャイナタウンを訪れる日本人客も多く目にするようになってきた。

新華僑が形成した池袋チャイナタウンおよび西川口チャイナタウンが、今後、横浜中華街のように多くの日本人も訪れるような観光地的要素を深めていくのか、今後の展開が注目される。また、これまで述べてきたように、横浜中華街でも相当な勢いで老華僑に代わって新華僑経営の店舗が増加している。

観光地としての横浜中華街の繁栄が、今後も継続していくのかどうかにも注目していく必要がある。

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