ちなみにプロ投資家の人たちからは、こんなコメントが返ってきている。
「モメンタムがついているかどうかを見るために使っている」
「転換点がどこなのかを判断するのに使っている。特に足の幅を見ている」
「移動平均線からの乖離を見ている」
「3カ月と6カ月の移動平均線が下がり気味、あるいは26週移動平均線が下がる傾向にあるものは買いを控える」
「モメンタム」とか「移動平均線」とか、ちょっと専門的な言葉があるけれども、そこは気にしなくてもいい。ここで私が言いたいのは、「チャートは主ではなくて、あくまでも従の存在である」ということだ。
「チャートはオカルトのようなものだ」
古今東西、チャートには様々な分析方法がある。「グランビルの法則」とか「エリオット波動」、「ギャン理論」、「柴田罫線」、「酒田五法」など、いろいろあって、それぞれに正当性を主張するものだから、どれが本当に正しいのかわからない。
しかし、それだけいろいろな方法があるということは、どの方法も正解ではない、ということだ。
だから、僕の知り合いであるプロ投資家の多くが、「チャート分析はあくまでも売り買いの背中を押してもらうだけのこと」と言っているのだ。
そして全員、銘柄を選ぶ時のベースはファンダメンタルズ分析だ。企業の財務状況や業績をもとにして、株式の本質的価値を算出し、判断している(というと、やっぱり難しそうなので、初心者でもわかるように本を出版させていただいた)。
チャートはあくまで目先の動きで、本質的な価値で判断しているわけではない。
だからこそ、チャートはオカルトのようなものと言ったのだ。
同様に、FXや、金などのコモディティ商品も「なぜ上がったのか」「なぜ下がったのか」が論理的に説明しづらいため、プロの目としては投資しない商品だ。
人生100年時代と言われるような時代に、ギャンブルのような方法で資産設計を行うのは、プロとしても勧めない。長く資産をつくっていきたいのであれば、ぜひ「ロジカル」で「再現性」のある手法を学んで、続けていただきたいと思う。拙稿『東大生が学んでいる一生役立つ「株」の教科書』(SBクリエイティブ)が、みなさんの資産作りの一助になれば幸いだ。