課題を見ないまま競争に爆進しているが…

米国が低軌道での商用利用や防衛利用を推進していることもあり、これからますます低軌道は混みあう。小型衛星の群れの登場以前から、衛星の増加によって通信に使う周波数が逼迫し、国際調整が繰り返されてきた。

こうした技術調整だけにとどまらず、人類が将来にわたって安定的に低軌道の宇宙空間を利用できるようにするための検討を開始すべきだろう。

その際に必要なのは、小型衛星の群れが今どういう状態にあるか、将来どうなるかの見通しなどの全体像を国際社会が共同して明らかにし、対策を練ることだ。「ゲームチェンジ」は重要だが、現状は各国政府も企業も自分たちの計画に集中し、さまざまな課題や不都合な現実を見ようとしないまま、爆進している。

このままいけば、防衛目的の小型衛星コンステレーションを構築しても、投じた資金に見合うような安定して安全保障に使えるものになるのか、という疑問が沸く。一般の人々にも宇宙開発に対する不安や懸念を与える。

小型衛星コンステレーションは日本の宇宙政策の目玉でもある。昨年12月28日に開かれた政府の宇宙開発戦略本部(本部長・岸田首相)で、岸田首相がまず言及したのも小型衛星コンステレーションだった。国際調整も含め、日本も宇宙を安定して使っていくために何が必要か知恵を絞り、未来に向けての役割を果たすべきだろう。

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