「なんだ、またその答えか」
修学旅行の時期や、春休み・夏休みで地方から来園するゲストが多い時期などは1日に何回もこの質問を受けることがある。
先述の中学生グループのようなリアクションが一般的だが、なかには「キャアアァァ!」という悲鳴をあげて喜びを表現する人がいたり、「すごーい!」と拍手をしながら欣喜雀躍する人がいたりする。過剰に周囲の注目を集めることになり、たいへん恥ずかしい。
リアクションが激しいのは若い女性グループの場合が多く、それらしきゲストが近づいてきたとき、質問されるのを回避するために進行方向を変えてやりすごしたことが少なからずあった。とはいえ、ゲストの反応が薄いと寂しい。「そうですか」とだけ言って立ち去られたりすると、忙しいときにわざわざなんで聞いてきたんだよ、などと思ってしまう。
なかには、オーソドックスな返答をすると、「なんだ、またその答えか」とか、「集めてどうするんですか?」などとツッコミを入れてくるゲストもたまにいる。
女子高生から「愛ってなんですか?」と聞かれ…
同僚のキャストにはオリジナルな返答を得意とする人もいた。
谷口さんは「ピーターパン空の旅」の前で聞かれたときには「ピーターパンが振りまいた落ち葉を集めています」というように場所や時期などによって臨機応変に回答を変えるのだという。
このようにキャストによって答えが変わったりすることも広く知られるようになったため、手あたり次第カストーディアルキャストに聞きまくるゲストもいる。私はといえば、谷口さんのような返答はやはり恥ずかしく、もっともオーソドックスなものに少しだけアレンジを加えて、「幸せのカケラを集めています」をもっぱら使っていた。
ゲストからの受けはまずまずだったように思う。あるとき、「イッツ・ア・スモールワールド」の前でスイーピングしていると、ワイワイ言いながら数名の女子高校生が近寄ってきた。いつもの質問が来るなと「幸せのカケラ」を準備していたら、そのうちのひとりから突然、「愛ってなんですか?」と聞かれた。一瞬焦ったが、とっさに「愛とは決して後悔しないこと」と答えた。
彼女は「深い!」とだけ言い残して去っていった。そもそも質問の意図はなんだったのか、いまだによくわからない。