一定の在留資格に限定する自治体の考え方
⑤の特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者は、掛川市によれば、「永住者や特別永住者については、相当期間、日本で生活しており、日本の社会生活等を十分に理解していると推定されることから」期間の要件は不要だが、日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の場合は、③の川崎市と同じような理由で3年の要件が必要という。しかし、なぜこれら5つの在留資格に限定しているのかの理由は不明である。
この点、大和市によれば、日本人の配偶者等を含めた理由は、「配偶者による制度の説明などのフォローが可能」なためという。もっとも、定住者を加えることの理由はそれでは明らかではない。おそらく、考えられる理由は、日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の人は、在留期間の更新が必要とはいえ、原則として更新が認められる人であり、事実上、永住者と同じように扱うことができるからであろう。
⑥の永住外国人は、苫小牧市によると、「住民投票の対象とされる特定の事項について正確に判断して自らの意思を表明するためには、一定程度の日本語の理解、社会の仕組み、文化、政治制度等の知識を身につけ、本市と特段に緊密な関係を持つに至った外国人住民を対象とする必要がある」。
また「その上で、住民投票には、住民自身が自分のまちの将来を考えるという強い気持ちが求められることとなる。外国人住民の範囲については、今後も長期的に本市に居住する意思があるのかどうかという心理的な関わりを視野に入れて考える必要がある」との理由から、永住外国人に限定している。ただし、「本市の外国人住民については、留学生を除くと、特別永住者、永住者の在留資格をもって在留する者が大半である」という現実的な理由も加わっている。
なお、日本の永住許可の居住要件は原則10年であり、帰化の5年よりも長いという問題もある。永住許可が国籍取得よりもこの点のハードルが高いのは、国際的にみても異常な状況にある。