在留期間別または在留資格別に6種類に分けられる日本の住民投票

武蔵野市の調べでは、国内の常設型住民投票条例を定めている自治体は78あり、そのうち外国人住民の投票を認めている自治体は43であるという。これらの投票資格要件は、おおむね以下の6類型に分けることができる。

【図表1】外国人住民の投票を認めている自治体

何をもって外国人の在留期間を定めているのか

それぞれの期間の根拠を検討する。

①の3カ月は、武蔵野市によれば、住民自治の基本原理や、市の基本目標の「多様性を認め合う支え合いのまちづくり」の基本目標から、外国籍市民にのみ在留期間などの要件を設けることには明確な合理性がないため、日本国籍を有する住民と同じ要件とすることが妥当という。

②の1年の根拠は、不明である。あえて1年の意味を何かに求めるとすれば、日本人の実子や一部の高度人材などの場合は1年の居住が永住許可の最短の要件である。また、日本人の配偶者との婚姻期間が3年あれば、1年の居住が帰化の最短の要件とあるように、最低でも1年の日本での生活実績が1つの目安とされていることが何かしら関係しているのかもしれない。

③の3年は、川崎市によれば、「日本に生活基盤を有していることに加え、付議事項の内容等について十分に理解し、自らの意思で投票を行うためには、日本の社会生活や文化、政治制度などの知識を身に付けている必要がある」からという。

また、岸和田市によれば、(2012年以前は)最長の在留期間が3年であり、「それを超えて日本に在留するには、活動内容によっては何回も更新手続が必要」であり、「更新することで、さらに日本に滞在しようという意思を明確にしている」ので、たとえ「永住」の資格を持っていないとしても、「3年を超えた滞在中に日本の風土や文化、慣習に触れることで、日本と密接な関係を持ち、地方の問題について日本人とともに考えるだけの知識を身に付けるに至っている」という。

④の5年は、生駒市によれば、住民投票において「対象とされる様々な事案について自ら意思を表明するには、一定期間以上日本に在留し、日本での生活基盤が確立されている必要があることから5年」とされている。また、(2012年以後)最長の在留期間が5年であるので、「1度は更新手続がされている」ことも併せて理由とされている。なお、5年の意味を別に求めるのであれば、帰化に必要な居住要件が原則5年であることが日本での生活基盤の確立の1つの目安になるとの考えもありえよう。