第7条「市場コンセンサスと比べてどうか」
市場のコンセンサス予想は、ネット証券の株式情報欄に例えば「レーザーテック」と打ち込んで、業績欄を確認すると、さまざまな株式アナリストの業績予想や目標株価の平均値(コンセンサス)を見ることができます。
これらはアナリストが評価を変えるたびに更新されるので、四季報のようなタイムラグはありませんが、銘柄によってカバー範囲がマチマチで、どちらかと言うと大手企業と比べ成長株はカバーされないことが多くなります。ただし、カバーされている場合は、四季報同様に影響を受けますので、チェックしておくとよいでしょう。
レーザーテックの2021 年6 月15 日時点のアナリストのコンセンサス予想は、会社予想を大きく上回っていました。会社予想とコンセンサス予想のかい離から、上方修正があるだろうなどと参考にすることもできますが、ほとんどの場合、開示されているコンセンサス予想は、発表直後に株価に織り込まれていて、サプライズとなるのはコンセンサス予想を超えた業績変化があった場合になります。
市場コンセンサスも四季報と同様に、会社予想の補足的な情報であり、長期指向の成長株投資では、決算短信ほど重要度が高いわけではありません。
第8条「決算状況、差異事由などを確認」
ここまで、主に決算書の数字について解説してきましたが、成長株投資では、成長企業の特徴や強みを理解するための「定性分析」(数字ではなく業種・業態の有望性や経営者の資質、技術力、営業力など企業の質を分析すること)も重要になります。
決算短信には、会社の現状を知ることができる貴重な定性情報も掲載されています。
1~2ページ目の「サマリー(要約)」、3ページ目の目次に続き4ページ目に書かれている「当四半期決算に関する定性的情報」(本決算の場合は「経営成績等の概況」)がそれです。中でも「経営成績に関する説明(もしくは分析)」は、会社の経営状況が具体的に書かれていて、とても参考になります。
決算書の説明内容は、事実のみが記載されたシンプルなものであったり、強気で楽観的な見通しが書かれていたり、企業によって傾向が異なります。中には、株主にあまり情報開示しないスタンスの企業もありますが、情報開示姿勢と将来性、成長性は別物です。
実際、株主に媚びるような姿勢の企業が、結果で見ると背信的だったり、逆に株主など眼中にないような硬派な企業が実力で結果を示すこともあります。このような企業の傾向も把握しておくと役に立つでしょう。