欧米日のコラボレーションはとてもエキサイティングで、次々と新しい考え方が生まれてきました。このコラボレーションを強力に推進するエンジンは、日本の「先進的な企業群」でした。欧米では進まないようなアイディアが、日本の「企業横断の場」で次々と生まれ、そして実行されていきました。いつの間にか、日本はフューチャーセンターの先進的実験国になりました。

富士ゼロックスKDIにおけるフューチャーセンターのセッション1

このことを象徴的に感じさせてくれるエピソードがあります。私は2010年に、ボブに誘われて、米国ニュージャージー州のジェネシスファームという、持続可能性を実践する農場で開かれたワークショップに参加していました。そこでの食事中の会話で、欧州から来たアート・オブ・ホスティングの伝道者の一人が、「欧州のフューチャーセンターは政府中心の活動。社会に開かれていないので面白くない。The HUB(世界中に広がりつつある社会起業家のコ・ワーキングスペース)の方が、Taka(私のことです)の言う場に近いと思う」とチャレンジしてきました。

これに対し、ボブが見事な回答をしてくれました。「日本は海外から色々なものを取り入れて、自分たち流に改善してしまうのが得意だよね。フューチャーセンターもそうなんだ。日本では、フューチャーセンターを個別の組織の持ち物にしないで、各企業に立ち上げたフューチャーセンターをネットワークさせていくことに成功しているんだ。テーマはどんどん他のフューチャーセンターに広がって、企業を越えて対話が始まる仕掛けをTakaは考えている」と。

これこそ、私の描いている世界観を見事に言葉に表してくれたものでした。フューチャーセンターは、その組織の改善のためだけにあるのではなく、社会的課題を提起して、企業を越えてイノベーションを起こしていくものです。