ひどい親はひどい親に育てられている

——「毒親のせいで……」と嘆く若者について、どう思いますか。毒親の元に生まれ、精神的に病んだり苦しんだりしている若者がいます。彼らが幸せになって社会で成功するには、どのような心の在り方が必要でしょうか。

親からきちんと扱ってもらえなかったり、チャンスを与えてもらえなかったりする子供は確かにいます。まず、そうした人たちには「アイムソーリー」(気の毒に思っている)と言いたいです。彼らが子供時代に経験したことは本当に気の毒なことです。でも、彼らも自分なりに最善を尽くす必要があります。そして、自分たちの子供には同じことをしないようにしてください。わが子が成功できるよう、できる限りのチャンスを与えてください。

前の世代と同じ過ちは犯さないでください。多くの場合、ひどい親は、やはりひどい親に育てられています。代々続いていることが多いため、その連鎖を断ち切るのが難しいのです。あまり良くない親の元に生まれ、人生の宝くじに大きく外れた人がいることを認識するのはとても重要です。

でも、その人がいい親になれなかったのは、その人自身の人生にも困難が多々あったからかもしれません。仕事を3つ掛け持ちしたり、結婚生活に問題を抱えていたり、どうすればいい親になれるかわからなかったり……。だからこそ、いい親になるにはどのようにするのがベストなのかを親に教える必要があるのです。

子供の行動を常に上から見張り、あれこれ干渉したり管理したりする「ヘリコプター・ペアレント」や非常に厳しく育てる「タイガー・マム」などと言われる親もいますが、愛情のかけ方には注意が必要です。子供が失敗を経験できるように十分な距離を保ち、失敗から学ばせなければなりません。でも、常に無条件の愛を示す必要があります。

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努力でなく結果でわが子を評価するのは間違い

——遺伝や才能という現実を直視せず、子供の成功は子供自身の努力次第だと考える親もいます。ありのままのわが子を無条件に愛さず、「勉強ができない」などと責めることで子供に大きなストレスを与え、その結果、親への暴力や親殺しなど、深刻な問題が生じるケースもあります。こうした親の心情についてどう思いますか。

そうした親は、成功しているほかの子供たちしか目に入らないのでしょう。「それに引き換え、なぜわが子は優秀でないのか。なぜスポーツが得意でないのか」などと考えてしまうのだと思います。

わが子をほかの子供たちと比べることは、わが子の「インプット」でなく、「アウトプット」に注目することです。つまり、どれだけ努力したか、頑張ったかではなく、成績や成功の度合いという「結果」で、わが子を評価することです。そして、これが間違いの始まりです。