どの子供もトップになれるものを持っている
子供は、(気温や湿度で形状が異なる)雪の結晶と同じように、一人ひとり違います。強みも弱みもまちまちです。子供には、自分がコントロールできることだけをコントロールさせればいいのです。それが「努力」です。その努力がどのような「結果」をもたらすかは、子供のコントロールが及ぶところではありません。
例えば、私が1時間かかる仕事をある人は10分で済ませ、別の人は4時間かかるかもしれません。大切なのは、子供の「比較優位性」を見いだし、何が得意なのかを見極め、それをほめてあげることです。どの子供も、称賛に値する何かを持っています。
子供のマイナス面にフォーカスすべきではありません。20人のクラスで首席にならなかったからといって、そのことにこだわってはいけません。トップになれるのは、たった1人なのですから。首席でないからといって、残り19人を虐げるべきではありません。別の何かで順位を付ければ、ほかの子供がトップの座に就くでしょう。
どの子供も、トップになれるものを持っているのです。それをほめたたえ、その得意なことで成功を収められるよう子供を励ます必要があります。これが、経済学で「比較優位性」と呼ぶものです。子供が数学コンテストで勝てないという理由で批判したり精神的に虐待したりするのではなく、得意なことをほめてあげるべきです。虐げるのはヘリコプター・ペアレントがやることです。
世界でメンタルヘルスの不調が問題視されている背景には、親が子供のことを自分自身の成功に重ね合わせて考え、気に病んでしまうという事情もあります。子供が「勝者」にならないと、親である自分が困る、と。でも、それは間違った考え方です。
私には8人の子供がいますが、子供たちが自分なりに精一杯努力していれば、彼らを「勝者」だとみなします。競争の「結果」は関係ありません。頑張ったことが「勝利」を意味するのですから。子供たちが力を尽くしたことをほめてあげたいのです。