韓国の“産業空洞化”が起きる恐れ

世界的なサプライチェーン再編の影響も大きい。米中対立や中国経済の成長懸念の高まりを理由に、生産拠点を中国からベトナムなどに移す企業が増えた。さらに2021年夏場に東南アジアで新型コロナウイルスの感染が再拡大した結果、ベトナムでの自動車部品の生産が停滞した。サプライチェーンのリスクをさらに分散しようと、ベトナムから別のアジア新興国などに生産拠点を移す企業が増えている。そうした変化は、韓国企業の海外直接投資を増加させ、韓国金融機関の海外事業強化にもつながるだろう。

やや長めの目線で考えると、人口減少の影響が懸念される。2020年の韓国の合計特殊出生率は0.84に低下し、統計が開始されて以来で初めて人口は減少に転じた。労使対立などを背景に若年層の雇用・所得環境が厳しい状況下、若い人が将来に希望をもって家族を養育することは一段と難しくなるだろう。人口減少は勢いづき、韓国経済の縮小均衡ペースは加速する恐れがある。中長期的に韓国内外の企業にとって、より成長期待の高い国や地域に拠点を移す意義は一段と高まる。韓国の産業空洞化と社会と経済の閉塞感の上昇が懸念される。

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