このままでは長期の事業運営が見込めない

それに加えて、韓国では労使の対立が厳しさを増している。11月に入り、韓国で移動規制が緩和された。その結果、感染の再拡大が深刻化したにもかかわらず、労働組合は待遇改善を求めてデモを行っている。

労働関連規制が強化され、労働組合が賃上げなどの要求を強める状況において、韓国内外の企業経営者が従業員との信頼関係を強化し、長期の視点で事業運営を目指すことは難しい。内外の企業は韓国での採用にも慎重にならざるを得ない。その結果、企業が長期の視点で人材を確保し、OJTなどの実施によって製造技術や組織運営のノウハウを伝承することは難しい。

そうした考えを背景に、人件費が低く、従順に指示に従ってくれる労働者を確保するために韓国から撤退する、あるいは事業拠点を海外に移す内外の企業が増加している。

ヒト・モノ・カネの海外流出が増える

今後も、韓国から脱出する内外の企業は増えるだろう。秋口以降、韓国株の上値が重い背景の一つには、企業の脱出によってヒト・モノ・カネの海外流出が増えるとの主要投資家の懸念がある。

目先の展開を考えると、韓国経済の不確実性要因が増えている。感染再拡大が続く中で新たな変異株が韓国経済にどう影響するかは今後の感染動向などを確認しなければならない。

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その一方で、不動産価格の高騰によって家計の債務残高は増加する可能性がある。今のところ韓国銀行は不動産価格の高騰を抑えるために追加利上げを重視しており、金利は上昇する可能性がある。金利が上昇すれば家計の利払い負担は増加し、デフォルトに陥る家計は増えるだろう。その状況下、韓国事業の縮小や撤退を重視し、より安定した事業環境を海外に求める内外の企業は増えるだろう。労働市場の規制改革に関しては、韓国政府が迅速に、国内外の企業の要望に答える展開が期待しづらい。