立憲民主党にとって衆院選は「惨敗」ではなかった

10月の衆院選で公示前議席を減らし、枝野氏が辞意を表明した時、筆者は暗澹たる気持ちになった。旧民主党・民進党でさんざん見せつけられた党のゴタゴタが、再び繰り返されることを恐れたのだ。

筆者は今回の選挙結果が、枝野氏の辞任が必要だったほどの「惨敗」とは考えていない。公示前議席との比較ではなく、民主党が下野した2012年以降4回の衆院選における与野党の議席の推移に着目すると、やや違う風景が見えてくるからだ。

例えば、立憲民主党が今回獲得した96議席は、民主党下野後4回の選挙で野党第1党が獲得した議席としては最も多い。比例代表の得票数1149万2094票も、同様に過去4回の衆院選で最多となった。

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「敗因は共産党との共闘」というレッテル貼り

また今回の選挙では、野党第1党と第2党の議席差が最も大きくなった。先の衆院選で野党第2党の日本維新の会の「躍進」が多くのメディアによって喧伝されたが、同党が獲得した41議席は、なお立憲民主党の半数以下に過ぎない。

これは「どんぐりの背比べ」状態だった野党の中から立憲民主党が頭一つ抜け出し、野党の中核として定着しつつあることを意味している。歩みは遅いが、小選挙区制が求める「政権を争う2大政党」という構図は、選挙を経るごとに確実に復元されてきたのだ。

だから筆者は、立憲民主党は目先の選挙結果に右往左往せず、これまでの取り組みをさらに押し進める方向で来夏の参院選に臨むべきだと考えていた。だが、多くのメディアや有識者らの外野は「公示前議席からの減少」という1点において選挙結果を「惨敗」と決めつけ、検証を待つこともなく敗因を「共産党との共闘」だとレッテルを貼った。ほどなく枝野氏は辞意を表明した。