泉新代表が克服すべき「民主党の負の遺産」
冒頭の記者会見の場面に戻ると、泉氏は「旧民主党の負の遺産」の質問に対し「そういう認識はない。いつまでも旧民主党のせいにしていては勝てない。旧民主党のさまざまな経験は反省ばかりではない。経験を糧として、改めて政権を担いうる選択肢になる決意を持って有権者に語っていけば、十分理解をしていただける」と言い切った。同感である。
あえて「民主党の負の遺産」を言うなら、それは何かにつけて「解党的出直し」などという声が出るような、党内のガバナンスとフォロワーシップの欠如だろう。その意味で今回の代表選は、質問者の意図とは違う意味で「負の遺産」を克服したと言っていいのではないか。
ところで、泉新執行部には、もう一つ克服してほしい「民主党の負の遺産」がある。それは、平成の時代の野党に求められ続けた「非自民・非共産の改革保守」という党の路線である。
小選挙区比例代表並立制の導入とともに、政界ではなぜか「保守2大政党」の構図が強く求められ続けてきた。「従来型の保守」である自民党に対し「新自由主義的な改革保守勢力」が野党の核として政権を争うべき、という主張である。
1994年の新進党結党、2017年の「希望の党」騒動は、いずれも改革保守勢力による野党第1党の「大きな塊」を作る動きであった。リベラル勢力を政界の片隅に追いやるものであり、「希望の党」騒動に至っては、むしろ積極的に彼らの議席を失わせる狙いすら見えた。
リベラル勢力は長年、こうした「保守2大政党」を求める動きに抗い続けてきた。1996年の「自民党VS新進党」に対する旧民主党の結党、2017年の「自民党VS希望の党」に対する立憲民主党の結党は、まさに「保守2大政党」に抗うため、リベラル勢力が「第三極」として割って入ったものと言える。
旧民主党には後に、解党した新進党の保守系議員が多数合流し、98年に新「民主党」が結党された。保守系とリベラル系が理念や政策をすり合わせ、中和する形で結党したことから、結果として党の目指すものが不明確となった。民主党には「寄り合い所帯」「党内バラバラ」のネガティブな評価が常につきまとい、やがて民主党政権の崩壊、そして「希望の党」騒動による民進党自身の崩壊につながっていった。