怒りを伝える「魔法の4ステップ」

もともと私たちが怒ったりイライラしたりするのは、自分の価値から生まれる期待値と、相手の言動にズレが生じるから。こちらが思ったことを相手がやってくれないせいで、怒ったりイライラしたりしてしまうのです。

伝える時には、次の「4つのステップ」を踏みましょう。

ステップ1:相手に対する自分の期待を振り返る
ステップ2:自分の期待値が社会通念に照らし合わせて逸脱していないか判断する
ステップ3:「今の状況」「自分の期待」「自分の今の感情」をセットで伝える
ステップ4:自分の望みを率直に伝える

ステップ1とステップ2は、自分が相手に対して持っている期待が、過剰でないかを検証する段階です。自分の期待が正当なものだと判断できたら、そこではじめてステップ3、ステップ4の「伝える」段階に進みます。

この4つのステップを踏めば、激しいクレームにならず、人間関係が壊れることもないでしょう。具体例でご説明しましょう。

必ず「恐れ入りますが」から入る

たとえばレストランで、運ばれてきた食器が汚れていた場合です。

ステップ1:相手に対する自分の期待を振り返る

「明らかに汚れているけれど、食事の味が変わるわけじゃないし、別にいいかな。でも食欲は失せるし、できれば変えてもらいたい」。つまり自分の期待は「汚れた食器ではなく、きれいな食器で食事を提供してほしい」ということです。

ステップ2:自分の期待値が社会通念に即しているかどうか判断する

それが過剰な期待かどうかを考えると、今の日本できれいな食器で食事を提供されることを望むのは、正当と言えますよね。それほど過剰なサービスを望んでいるわけではない。だとしたら、自分の期待は社会通念上、正しいだろうと判断できます。ここでようやく次のステップに進み、相手に自分の気持ちを伝えていきます。

ステップ3:「今の状況」「自分の期待」「自分の今の感情」をセットで伝える

「今の状況」=食器が汚れている、「自分の期待」=きれいな食器で食べたい、「自分の今の感情」=食事を楽しみにしていたのに、がっかりしている、この3つをいっしょに伝えます。

このときに注意したいのは第一声です。「おい」「ちょっと」など上から目線で言うと、相手も気分を害して、こちらの話を聞こうという気分にはなりません。必ず「恐れ入りますが」と下手に出ましょう。

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