検証委員会の求めで実施した情報通信行政に携わる職員向けの「組織風土や仕事の進め方に関するアンケート」(回答数:管理職から係員級まで280人)で、「総務省で働いていることに誇りを持っているか」との問いに、「そう思わない」4.6%、「あまりそう思わない」8.9%、「どちらとも言えない」16.8%と、約3割の職員が「仕事に誇りをもてない」と答えたのである。

逆にいえば、「国家公務員の矜持をもって総務省再建に心を砕こうという職員は3人に2人しかいない」ということになる。「情報通信行政の再興」の担い手の意識としては、あまりに寂しい数字ではないだろうか。

モチベーションの高い職員は半数にも満たず

深刻なデータは続く。

「現在、モチベーションが高く仕事ができている」と答えた職員は46%と、半数にも満たなかったのだ。

さらに、「これまでのキャリアの中でモチベーションが下がる瞬間があったか」との問いには、87.1%が「ある」と答えた。

その理由(複数回答)として、2人に1人が「残業が多い、忙しい、休みがない」51.6%、「上司、部下との人間関係に問題がある」48.0%、「職場で問題事案や理不尽なことがあった」46.3%と労務上の問題を挙げ、約2割が「職場で仕事ぶりや頑張りが評価されない」20.9%、「国民や行政の対象者等から評価されない」17.6%といったがんばり度が伝わらないむなしさや不満を訴えた。

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また、「省内に尊敬(信頼)できる上司や同僚がいる」と答えた人は8割にとどまり、「今の職場では、自由に意見を言うことができる」との問いにも、約3割が「イエス」とは言わなかった。

ある程度の士気の低下は推察されていたが、アンケート結果を見た総務省関係者は「衝撃的な数字」と驚きを隠さない。「永田町と霞が関のパワーバラスが崩れて、官僚の裁量の余地がなくなり、面白いことを考える力が落ちてしまった」とため息をつく。

最終報告書は、「一連の幹部職員の行動が、若手をはじめとする個々の職員の誇りを大きく傷つけ、仕事に対するモチベーションを低下させるとともに、幹部に対する信用を失墜させたはずである」と結んでいる。

官僚の士気の低下は中央省庁全体に広がっているといわれるが、総務省では、前代未聞の「大事件」が拍車をかけたとみることができよう。

官僚群が有能集団であるためには高い倫理観と知見が必須だが、もっと重視されなければならないのは公僕として国家・国民のために働こうという「意欲」なのだ。