一歩間違えると「ハコモノ行政」を繰り返すことになる
一方、木曽氏は自治体グループが公表した経済効果や集客予想に対し「事業者や自治体の事情もあったのだろうが、盛りすぎだ」と問題視する。予想数字と現実があまりに大きく乖離するとそれだけで「失敗」の烙印を押されかねない。自治体側は区域整備計画で、ポストコロナを見据えた冷静な経済効果算出が不可欠となりそうだ。
観光などの「遊民産業」の経済効果に期待する吉崎氏は「ポストコロナの観光業の答えは誰もわからないが、最も進んだIRを日本で実現できれば良いツールになる」と期待を寄せる。
2002年に発足した「カジノと国際観光産業を考える議員連盟」(現国際観光産業振興議員連盟=IR議連=)の初代会長だった野田聖子氏はIR整備法案が党総務会で了承された時に「観光立国としての初めの1歩だ」と興奮気味に語った。
しかし、これから始まる本当の「1歩」を踏み間違えると、バブル経済期に日本各地で乱立し、解体されたり廃墟となった「ハコモノ行政」の愚策を繰り返すことになりかねない。