「土日に客足が集中する土地」は将来性がある

もうひとつ、立地に関して「高齢か若いか」といった表現もしている。繁閑差の大きいところは立地が若いという。

撮影=プレジデント社書籍編集部

つまり、平日には客足があるものの、土日には閉店している店が多かったり、客足が少ないというのは、すでに立地としては高齢化していて、将来性は少ない。一方、土日に客足が集中し、平日との売上に差があるようなところは立地が若い。将来性があるといっている。

そして、立地が若いところは、短期的に見れば一週間のうちの二日間、土日しか儲かっていないようだけれど、中期的に見るとそうとも言えないと。こちらでも中長期的な視点で適合するか否かを見ている。

同時に、いま儲かっているところが永久に儲かるわけではないといった、現状に安住しないといった警鐘をも含んでいる。

イオンの出店戦略とショピングセンター戦略はこのように独自性をもち、他社の追随を許さないノウハウと歴史を持っている。したがって、イオンの出店基準のハードルはとても高い。

「第3セクター」方式のところには出店しない

また、岡田は世間でよくある地方自治体や地元が主導する「第3セクター」方式の店舗には出店しないと決めている。

たとえば、立地は繁華街、施設店舗の設計者は著名ではあるが商業者の使い易さを無視した構造やレイアウトなど、結果としてコストも高いところが多い。加えて施設運営も役所優先で無責任体制となる。

岡田はどうしても出店しなくてはならないところは、共有ではなく、区分所有として自社の自由度を確保するよう指示する。つまり、自社のコントロール不可能領域を最小限に抑えようとしているのである。

今日、このような施設に出店した同業者はすべて退店し、その姿はないのがほとんどである。