税負担が重いと感じたらiDeCoの検討を
2つ目は、納めている税額から、税負担をどの程度軽減することができるかを把握する、ということです。
例えば前述の住宅ローン控除は、年末のローン残高の1%が10年間にわたって所得税などから控除されるものです(2019年10月1日~2020年12月31日の入居では11~13年目以降も控除がある)。上限は年間40万円(一定の要件を満たす住宅では50万円)で、多額のローンを組めば40万円を10年間、計400万円の税金が戻る、と思いがちです。しかし、あくまでも所得税の還付、ですから、戻ってくるのは、納めた所得税が上限です。所得税を上回った場合は、最高13万6500円までが翌年の住民税から控除されますが、必ずしも、400万円が戻るわけではないのです。
また「税負担が重い……」と感じたら、iDeCoの利用を考えましょう。iDeCoは拠出した掛金が全額、所得から控除され、所得税率が20%の人が年間20万円を拠出すれば、所得税だけでも4万円が軽減されます。実質16万円の負担で、税負担を軽減しながら年金づくりができる、というわけです。
前年との比較で見えてくること
そして3つ目は、支払っている社会保険料をしっかり活かす、ということです。「社会保険料等の合計」を見ると、保険料がかなり多いと思うかもしれませんが、保険料を多く負担すれば将来受け取る厚生年金に反映されますし、死亡した場合に遺族が受け取る遺族年金、障害を負った場合の障害年金という保障も手厚くなります。健康保険についても、保険料を多く納めれば、その分、傷病手当金や出産手当金などの額が多くなります。
日本の社会保険はとても充実していますが、きちんと把握していないと、手続きせずにもらい損ねる、備えとして保険に入りすぎるといったことにもなりかねません。保険料を認識し、社会保険の保障をしっかり知りましょう。
そして、もう1つ、心掛けたいのは、「毎年、源泉徴収票で税額や社会保険料を確認し、前年と比較する」ということです。会社からの支給額、手取り、税額や社会保険料の額を知り、自身の働いた成果を正しく把握すること。そして、税金や社会保険料が有効に使われているかをチェックすることも、働く人のたしなみです。「前年より収入が増えたから積立額を増やそう」「税負担が重くなっているから節税を考えよう」など、資産形成についても検討したいところです。