安易に超えてはならない「130万円の壁」
――どういうことですか?
高橋さんの会社もそうですよ。この103万円の壁を下回っていることを根拠に「家族手当」を出しているケースがあるからです。年末調整の申告を参照して、手当を決めているというわけです。
――そうでした。うちの社の場合は月1万5000円。大きいです。
それと、103万円を超えると奥さん自身に所得税が発生します。1000円未満切り捨てなので、正確に言うと103万1000円からですね。ちなみにその場合、1000円の5%なので所得税の年額は50円です。それでも納税義務が発生するわけです。
――なるほど。次の壁はいくらでしょうか?
はい、もっとも高くそびえ立つのが「130万円の壁」です。これは安易に超えてはならない壁なんです。
この壁を超えると手取りが年間18万円超減る
――どうしてですか?
それまでは夫の社会保険に入ることができたのですが、年収130万円以上の人は自分で社会保険に入らないといけなくなるからです。条件によって上下しますが、だいたい年間18万6000円くらいの支出になります(130万円以下でも、1週間の所定労働時間が20時間以上の継続雇用の場合は、雇用保険の加入義務が発生。年間3000円程度)。
――たとえば129万9999円から1円増えるだけで……。
はい、その1円増えることによって、手取りが年間で18万6000円も減ってしまうという恐ろしい壁なのです。ここには通勤手当も含まれます。
でも、少しだけいいこともあって、まず妻は社会保険料控除が使えるようになるので、自分が支払う税金が安くなります。それから、年金の掛金がプラスされるため、妻が将来受け取る年金が多くなります。とはいえ、いずれも「少し」という程度であり、社会保険料の出費を穴埋めできるようなものではありません。