130万円を突き抜けるくらい稼がないと損

――なるほど。ではこの壁を超えるときは……。

はい、130万円を少し超えるくらいでなく、突き抜けるくらい稼がないと、損になってしまうのです。ここで注意しなくてはならないのが、「大企業なら、この壁が106万円まで下がる」というルールです。

――なんですかそれは?

パート勤務先の従業員数が501人以上の場合は、2016年から130万円ではなく106万円からになったんです(2022年からは101人以上の企業にも適用)。

――ほかにも「壁」はありますか?

まあ、あるといえばありますが、最大はなんといっても130万円。次は150万ですが、これは配偶者特別控除「満額38万円」の壁です。これを超えると夫が控除できる額が少しずつ減っていき、201万6000円を超えると配偶者特別控除は受けられなくなります。

130万円より125万円稼いだ方が家計収入は高い

さて、このような壁があるということを把握した上で、高橋さんのご夫婦を例にシミュレーションしてみましょう。奥さんの収入が100万円、125万円、130万円、150万円超(151万円)、180万円の場合、夫婦の総収入がどうなるか? ちょっと計算してみますと……ざっと、こんな感じです(図表1)。

高橋家の場合、妻の年間のパート収入は130万円より125万円に抑えた方が家計の総収入としてはお得になる
高橋家の場合、妻の年間のパート収入は130万円より125万円に抑えた方が家計の総収入としてはお得になる

――奥さんが年125万円稼いだケースと130万円稼いだケースでは、125万円のほうが家計の総収入が高くなっちゃうんですね。

そうですね。あくまで高橋さんの収入や控除にもとづいた家計シミュレーションですけれど、125万円と比べて5万円多く働いても、家計の総収入としては10万円以上減ってしまうことになります。

――130万円に達すると厳しいんですね。

150万円超(151万円)奥さんが稼いでも、125万円の時とあまり大差ないですね(4万円弱)。これがもっと大きく振り切って180万円まで行くと、ずいぶんと家計収入は増えることになります。

――たしかに。