柔道事故を取り巻く環境はやっと変わりつつある

被害者の会設立から10年。2年後の2012年から14年までの3年間は、それまで延々と続いた死亡事故がゼロになりましたが、再び発生し2021年4月現在、累計121人に増えています(なおこれは学校死亡事故件数であり、一般道場では2010年に小学1年生、2019年に小学5年生が死亡しています)。

土井香苗・杉山翔一・島沢優子編、セーフスポーツ・プロジェクト監修『スポーツの世界から暴力をなくす30の方法 もう暴言もパワハラもがまんしない!』(合同出版)

しかしながら、日本の柔道事故を取り巻く環境は変わりつつあります。兵庫県宝塚市の市立中学校柔道部の男性顧問が2020年9月、1年生の男子2人を柔道技で骨折させたなどとして傷害罪に問われた事件は、翌年2月の判決公判(神戸地裁)で男性顧問に懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)が言い渡されました。

「柔道場で柔道着を着て柔道技を使った」行為が、暴行と認められたのです。しかも、同市教育委員会は顧問を懲戒免職にしています。

一方、16年前に私の息子に暴力を振るった顧問Aは、何の罰も受けず教壇に立ち続けました。悔しい現実です。しかし、私たちが声を上げたことで何かが変わったこともまたひとつの事実でしょう。

私は柔道を憎いとは一度たりとも思ったことはありません。私の息子が愛した柔道が、多くの人に安全に楽しんでもらえるよう祈り続けます。

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