オールスターを見ていても、1イニングに限定した場合、球速は100マイル(約160キロ)を超えます。先発で長いイニングを投げるとなるとペース配分を考える必要がありますが、短いイニングだけなら常に全力でいける。1イニング限定のクローザーなら、今のピッチングスタイルで構わない。クローザーの適正はあると思います。
そう考えると先発だけでなくクローザー、あるいはセットアッパーもできるという、超オールラウンドなピッチャーになる可能性があるわけです。もちろん、そこは監督やコーチの考えもありますし、一番は本人が何を望んでるかというところになると思いますが、ピッチャーとしてまだまだ大きな可能性を秘めているということになります。
たとえば今年は野手、来年は先発投手、その次はクローザーと、1年ごとに役割を変えていったらそれぞれでタイトルが獲れそうです。いろんなタイトルを獲って欲しい、そこが彼に感じるロマンですよね。
投手としてもメジャートップになるには
ただ、大谷選手とメジャーのトップクラスの投手を比べた場合、見劣りする部分もあります。大きな課題はコントロール。今はそこまで細かい制球力がなくても勝てているのですが、これで両サイドに投げ分けられるようになれば、まだまだ伸びていく可能性はありますし、トップクラスのピッチャーに近づくことができます。
そのためには、投手としての精度を上げ、狙ったコースにある程度キッチリ投げられるように、どれだけトレーニングの時間を費やすことができるかが課題ですね。
メジャーでは全体的に「投げすぎはよくない」との考え方が強いので、たとえばブルペンでの投球数やキャンプでも投げる時間が決められていますし、イニング間の投球もできない。
大谷選手の場合はそれにプラスしてバッティング練習もやらないといけない。そう考えると、二刀流を続けている限りは、時間が圧倒的に足りません。
今シーズン、投手としては現状が精いっぱいなのかもしれません。あとは試合で投げながら、どんどん状態を上げていく、感覚をつかんでいくというやり方しかないと思っています。
少なくとも二刀流というのは年齢的に若くないとできないと、私は考えます。大谷選手自身もおそらく年齢を考えて、二刀流をやるためにはどれくらいの体力が必要かというところも踏まえての今だと思いますので、来シーズン以降は自分の体とも相談しながら、どのようなプランを考えていくかになるでしょうね。