膨れ上がった五輪費用

東京開催が決まった時には、費用はパラリンピックと合わせて7340億円と見積もられていたが、昨年12月の時点では1.6兆円まで膨れ上がってしまった。

自治体の中でも優等生だったはずの東京都の財布は、コロナによって厳しいものになりつつある。2020年3月には9345億円あった都の財政調整基金は、今年3月には2511億円まで減っている。相次ぐコロナ対策で、さらに取り崩さなくてはならず、今年度末には21億円に激減する見通しだ。チケット収入として見込まれていた900億円のうち9割は、無観客になったため消滅した今、五輪の経費負担がさらに都民にのしかかる。

傷ついたメンタルヘルス(mental health strains)

アスリートのメンタルヘルスに、これだけ注目が集まった大会は初めてではないだろうか。海外メディアで大きく報道されたのは、体操女子で金メダルが期待されていたアメリカ代表のシモーネ・バイルズ選手の決勝戦棄権だ。バイルズ選手は、前回のリオデジャネイロ大会で女子団体と個人総合など4つの金メダルを獲得したアメリカのエースだった。

バイルズ選手は棄権の理由を説明しながら泣き崩れ、「ストレスが高い状況に置かれるたびに、パニックのような状態になる」「私は心の健康に集中しなければならない。自分の健康と幸福を損なうわけにはいかない」と記者団に語り、「自分自身の頭と戦ってるって最悪」と付け加えた。

フィナンシャルタイムズ紙は、7月31日の社説で、「メダル獲得のために各国が莫大な資金を投入し、その見返りを求める。彼女の突然の退場は、こうして高まったアスリートへのプレッシャーについて、議論を促すものとなる」と書いている。

同紙によると、英国スポーツ研究所ではストレス対策のため、選手、コーチ、スタッフに、スポーツ精神科医のプログラムを受けてもらったという。これは、人質から解放された人の社会復帰を手助けするカウンセリングで、ロックダウンや五輪などのストレスを軽減するのに、最も効果的とみられるプログラムだったそうだ。

選手のメンタルヘルスは、今後スポーツ界が真剣に取り組むべき課題の一つだ。この問題が今回、世界の大きな舞台で取り上げられたのは、歓迎すべきことだったのかもしれない。

メダルを確実に増やす方法(Surefire way to boost your Olympic medal count)

「オリンピックという世界最大のスポーツイベントは、開催国にとって経済的な大惨事だ。メダルの数以外は!」と報じたのはブルームバーグ通信だ。

今大会の日本の金メダル獲得数は27で、アメリカの39と中国の38に次ぐ。過去の研究から、五輪開催国は多くのメダルを獲得し、自国開催の次の大会でも多くのメダルを獲得していると記事は伝えている。