「女を使う」ってどういうこと?

会社の男性たちは「怖い時代になったものだ」「うかうか女子社員と会話もできない」「なんでもセクハラになってしまう」などと古典的なリアクションをしていて、私もそうだなと思っていました。

笛美『ぜんぶ運命だったんかい おじさん社会と女子の一生』(亜紀書房)

でもこんなに世の中で騒ぎになっているのを見ると、やはりうちの業界はおかしかったのかもしれないと思う反面、「異常な環境でサバイブできてる私って特別だ」と自分に酔ったりもしました。

#MeTooをした女性に対して「自分だって女を使って散々トクをしたんだろ」という批判をよく見かけました。その言葉がなぜか私の心にチクリと刺さりました。

私も「女を使った」と男性陣に言われたことがあります。「女を使う」とはどういうことでしょうか? 女として求められる化粧や服装や笑顔や愛想を発動することが「女を使う」になるならば、私は女を使ったことになると思います。自分が「女を使った」から、相手が「女」に反応してセクハラや性加害に及んだのだとしたら、もしかしたら責任の半分は自分にもあるのではないかと思っていました。

じゃあ、なぜ私は女を使わなければいけなかったのでしょうか? 刻々と迫っている、と思わされている女性の人生のタイムリミット。わずか数年で確固たるキャリアを身につけなければならない焦り。早く結果を出すためには、権力のある人と仲よくしたい、無理なことも我慢しようと思うのは、そんなに不自然なことでしょうか?

たとえ「何かおかしいな?」と思っても相手から逃げ出せたでしょうか?

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