※本稿は、笛美『ぜんぶ運命だったんかい おじさん社会と女子の一生』(亜紀書房)の一部を再編集したものです。
社内結婚格差
男性の先輩や同僚たちは、次々に結婚していきました。女性である私でさえ会ったことのないような、天女のように綺麗で優しそうな女の人たちと。奥さんたちは家庭に入って、先輩たちの身の回りのお世話をやってくれるようでした。結婚しても彼らのライフスタイルは変わらず、独身時代と同じように深夜残業をし、コンビニや外食でごはんを食べていました。
「お前もそろそろ結婚しないとやばいよ」「女性の独り身は惨めだよ」「30になると卵子が老化するんだよ」と男性の同僚に言われるようになりました。
卵子の老化のことはよくニュースで言われるようになり、私はとっくの昔にそれを知っていました。
「そういう自分はどうなの?」と聞くと、「男は30過ぎても結婚できるし、70になっても子作りできるから心配ないんだよ」と言われました。
「なぜこのタイミングで妊娠」という陰口
ある女性社員が妊娠したとき、「なぜこのタイミングで妊娠するんだ」と陰で言われているのを聞きました。いつか私が妊娠したときも陰でそう言われるのでしょうか?
もし結婚したらどんな生活になるんだろうか? 自分の家族を振り返ってみました。うちの両親は共働きでした。お母さんは残業は少ないけど、フルタイムで仕事をしながら毎日ごはんを手作りし、掃除や洗濯などの家事もこなしていました。おばあちゃんも家にいて、私たちの世話をしてくれました。お父さんは子煩悩だったけど、あまり家事はせずに新聞を読んだりテレビを見ていた記憶があります。
でも私は結婚したり子供ができたらどうなるんだろう? 実家からとても遠くにいるし、お母さんと違って仕事も残業がある。というか残業が多い。子供を産めば、育児という20年間も続く長期プロジェクトに携わることになる。今の仕事でさえ大変なのに、正直やっていける気がしない。想像するのさえ怖い。
働きながら子育てをしている女性のロールモデルをネットで検索しました。大企業で総合職として勤めながら、子供を2人育てた管理職の女性が出てきました。早朝に起きて、子供が寝静まったら深夜まで働いて、めちゃくちゃな生活を乗り越えたとのこと。この人はスーパーウーマンなのだろう。でも私は凡人だからいまの仕事を維持しながら働いていくなんて無理だ。