最低賃金が上がると失業するアルバイトが増える

マクドナルドの原価の割合はざっくりこんな感じのようです。

2015年 材料費35.9%+人件費32.4%+その他賃料27.8%=原価合計96.1%

仮にすべての店舗の時給が1000円から1500円に上がったとすると、人件費が48.6%になり、原価合計が112.3%と、100%を超えます。まあ、厳密には少し違いますが、だいたいはそんな感じです。

要するに、原価が販売価格より高くなってしまいます。値上げをしないと、売れば売るほど赤字になるという状態です。

味もサービスもまったく変わらないのに価格だけ16%も増えたら、お客さんは減るに決まっています。なので、元から売り上げの多い店舗は残ると思うのですが、ギリギリでやっている店は軒並み閉店することになります。

ということで結果、失業するアルバイトの人が増えてしまいます。この結論は容易に想像がつくと思います。

「スキル不要の仕事」はやられる

マクドナルドを例にして話をしましたが、ほかの飲食店やコンビニなどでも同じことが発生します。

ひろゆき『無敵の思考』(だいわ文庫)

ここで危ないのは、スキルがなくても「なんとなく働けてしまう」という職場です。先ほどは、好きすぎることを仕事にするリスクについて述べましたが、「好き」すらもない環境でもスキルがなければ危険があるということです。

ここでは、実際に最低賃金が高いフランス社会の様子を紹介しようと思います。

2017年のフランスの最低賃金は、だいたい1200円でした。

小さい飲食店やスーパーは家族経営や外国人が多く、また労働法が厳しいので解雇しにくいため、若者を雇う余裕がありません。

したがって、やはり多くの人が仕事にありつけない状態です。

25歳以下の、4人に1人が失業中というデータもあります。

そうすると、日本で最低賃金が上がって喜ぶのは、チェーン店の近隣にある家族経営や個人の店ということになります。要するに、アルバイトをほとんど雇っていない店です。

個人的には、そういった労働集約型の産業というのはやがて頭打ちになって、その代わりに情報産業やエンタメ産業で働く人が増えればよいなと思っています。

だから、最低賃金を上げることは個人的に賛成ですが、そこで働く人たちの働き方は「流されるまま」ではなく、ちゃんと考えておいたほうがいいですよね。

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