好きなことを仕事にすれば楽しく働けるのか。実業家のひろゆきさんは「好きなことでも毎日していたら絶対に飽きる。そんなに好きじゃない仕事で8時間だけ働いて、家に帰って趣味をするほうが、たぶん人生は幸せだ」という――。

※本稿は、ひろゆき『無敵の思考』(だいわ文庫)の一部を再編集したものです。

ひろゆき流ルール:「好きすぎること」で食わない

ゲーム好きがゲーム会社で働くのは幸せなのか

以前に一度、ゲーム会社で働いたことがあります。働くといっても、就職したわけではなくて、週に2回ほど顔を出す仕事です。

ゲーム会社にいると、たくさんゲームが置いてあって、「好きに遊んでいいよ」という状態です。ゲーム好きならたまらない環境ですよね。

ただ、ゲームをしたことがある人ならわかると思うのですが、ゲームには面倒くさいパートがあります。たとえばRPGだと、地道にレベルを上げてようやく次に進めたり、試行錯誤して強い武器を手に入れて楽になったり、という浮き沈みがあります。

そうすると、その浮き沈みの沈んだ瞬間というのはおもしろくないので、ゲームが遊び放題の環境だと、次のゲームに関心が移ってしまいます。

そうして、「次を、次を」とやっていくうちに、どのゲームもおもしろくないという結末になってしまって、ゲームをする気が起きなくなってしまいます。

ゲーム好きでゲーム会社に入って、ずっと働いている人は、皮肉にもゲームをする暇がなくなるみたいです。なので、そんなに好きじゃない仕事で8時間だけ働いて、家に帰って趣味をする人のほうが、たぶん人生は幸せなのかもしれません。

「毎日だと飽きる」という現実

ゲームと同じで、寿司が好きな人でも、毎日のように寿司を食べていたら、絶対に飽きるわけです。

つまり、幸せに感じる効用は、どんなに好きだと思っていても次第に減っていってしまうものです。お見合い結婚のように、加算方式で物事を好きになることだってありますからね。

だから、好きなことを仕事にすればいいということを言う人がいますが、究極をいえば、「好きすぎてもいけない」と僕は思っています。

そもそも、みんなが「おもしろい」「興味がある」と思っている分野は、給料が下がる傾向があります。ゲームのプログラマーやイラストレーターもそうですし、テレビ業界も制作会社だと給料は安いです。

「好きすぎるから給料が安くても大丈夫です!」という人が、たまにものすごい結果を出したりすることもあるので、一概に悪いとは言えませんが、それなりに覚悟はすべきでしょう。

まあ、極められるくらい好きで、起きている間じゅうはずっとやり続けられるような人は、僕がいろいろ言わなくても放っておいてもやり続けると思うので、別に関係ないでしょうけどね。