コストは大きく分けて三つ

私たちのような製造業の場合を例にすると、コストは大きく次の三つです。

コスト=原材料費+製造費+人件費

原材料費とは、文字通り材料の仕入れコスト。製造費とは、製造のために使うコスト。そして人件費(労務費)の合計と考えてください。

それぞれのコストがどのくらいかかっているか、まずはその把握から始めましょう。

原材料費なら「もっと安く仕入れる方法はないか」。製造費なら「もっと燃料費や電気料金、そのほかのランニングコストを下げる方法はないか」。そして人件費であれば「もっと合理化する方法はないか」。そう考えながら、社業を見直すのです。

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世の中にはさまざまな業種や業態、企業が存在します。それぞれ特徴があったり、特殊な事情があったりする。うちの会社もすごく特殊な面があって、じつは原材料費がほぼ存在しません。なぜかというと、お客さまの要望にカスタマイズした形状の製品を作るので、材料はお客さまが自ら仕入れ、うちの会社に預けていただいている形になっているからです。

同業他社のデータを基にメスを入れる

では、どのくらいまでコストを抑えるべきなのか。とにかく下げればいいのかというと当然そうではなく、品質の悪化、安全性の低下などの問題を起こしかねないので、三種類のコストのバランスも、業種によって大きく違ってくる。

適切なコストは何を参考に決めればいいのか? それはズバリ、同業他社のデータです。中でも、同業種の平均データ・うまくいっている競合他社のデータがわかれば非常に参考になる。

同業種の平均データは統計的に知ることもできる。

よりいいのは、自社よりも業績のよい競合他社のデータです。

もっとも、細かな、具体的な数字が必要なわけではない。信用保証会社を駆使して、どうにかして情報を収集してみること。上場企業であれば公開されているデータも参考になります。

もしも今、人件費の比率が同業他社の水準よりも高い状況ならば、どうやって合理化するかを考える必要があります。単純にいえば、いかに設備投資を行って人手を省く(省人化する)か、ということ。

そして、どうやって省人化を図るかを決められるのは経営者しかいない。赤字を脱するために経営者に課せられた責任ともいえます。そのためには、現場に経営者が自らメスを入れ、改善をしていく必要があるわけです。