中には、「7月2日、午後8時。東京・銀座の雑居ビルにある居酒屋の店長は、通りに面した看板の電気を消した。外からは一見すると閉店しているように見えるが、店の中では客が酒を飲み続けている。その後も絶え間なく、なじみの客が入ってきた」(朝日新聞デジタル7月15日11時30分)
3回目の緊急事態宣言が解除された後だが、8時以降、まるでアメリカの禁酒法時代のような光景が銀座にも出現していたのである。
金融機関を使って“恫喝”した西村担当相
私が住んでいる中野区でも、深夜まで酒を出す店がいくつもあり、ネットには「隠れ営業リスト」がアップされている。
そんな状況にしびれを切らしたのだろう、菅首相の意を汲んでのことだと思うが、7月8日に西村担当相が驚くべき発言をするのである。
会見で、西村がスライドを示しながら、休業要請に応じない飲食店について、「金融機関としっかり情報共有しながら、順守を働きかけていく」とぶち上げたのである。
オレのいうことを聞かない飲食店は、金融機関から融資引き揚げなどの圧力をかけてやるぞという“恫喝”だ。
当然だが、これは「飲食店イジメだ」と与党内からも批判の声が上がり、西村は「金融機関からの働きかけはやらない」と、たった一晩で撤回する羽目になってしまったのである。
週刊文春(7/22日号)で政治部デスクがこう話している。
「取引上、融資をする側で立場の強い金融機関が、飲食店の営業内容に注文を付ける行為は、独占禁止法が禁じる『優越的地位の濫用』にあたる可能性がある。その意味で、西村氏の発案は極めて筋が悪かった。九日には金融庁が全国銀行協会に依頼文書を出す予定でしたが、急きょ取りやめになりました」
なぜ、西村担当相は、ここまで露骨な飲食店イジメに走るのか? 週刊文春によればこうである。
「上の者にはペコペコし、下の者にはきつく当たる」
「西村氏はかねてから『感染拡大を防ぐためには、とにかく酒の提供を止めなければならない』と主張しており、財務省出身の藤井健志内閣官房副長官補にも『何か効果的な政策はないか』と相談していた。そんな中で国税庁に『飲食店に何らかのプレッシャーをかけられないか』というオーダーが出され、販売業者に酒類の取引停止を求めるというアイディアが浮上したのです」(内閣官房関係者)
西村は、時短要請に従わない飲食店には、新型コロナ特別措置法で30万円以下の過料が科されると定められていることを持ち出し、「もっとちゃんと過料を取るようにしろ!」と吠えているそうだ。
「上の者にはペコペコし、下の者にはきつく当たる」(週刊文春)西村の政治家人生が、ここにも色濃く表れているということだろう。