退職金2000万円のほとんどは親兄弟から借りたお金の返済に消えた

またお話を聞いていると妻も子どもに甘く、長男が県外で暮らしているときは、仕送り用の口座の残高が減れば補充をしていました。また次男が私立中学校の受験をするときは、塾までの送り迎えをし、さらに帰り道で毎日のようにご褒美のおやつ(ケーキなど)を買うなど、散財していました。このような暮らし方から、今まであまり貯金はできなかったようです。

60歳の定年時には退職金2000万円が出ましたが、夫は住宅ローンの頭金や車の購入費用として親兄弟からお金を借りており、その返済に充てました。また、毎月の赤字の補填や不足する塾代、その他のイレギュラー支出のために使ってしまい、せっかくの退職金は現状のようになったとのこと。妻の甘さや、夫の見栄っ張りな様子が、今の家計状況の根本問題となっているようです。

実際お金の使い方を見てみると、毎月の赤字は約13万円。手取り月収が34万円あまりなのに対して、支出が約48万円です。全体的に支出が多いですが、すでに格安スマホを使うなど節約を意識されている部分もあります。日用品の買い方にも気を付けているそうです。

写真=iStock.com/emma
※写真はイメージです

百戦錬磨のファイナンシャルプランナーもちょっとお手上げな家計

ですが、食費はクレジットカードでいくら使ったかがわからず、毎月いくらかかっているのかわからない状況(調べてみると、月8万6000円)。化粧品、美容室代(計月2万2000円)が高めであることも気が付いていません。自動車関連費のひとつであるETCを使えば自動的に「リボ払い」の設定になっているので、毎月のカード支払いがいつまでもなくなりませんし、教育ローンや長男の奨学金の返済(計月4万5000円)などが固定費化し、家計に負担となっています。

簡単な話、今後、収入を得られる期間は短いため老後の暮らしを考えなければいけないのに、それに構わずどんどんお金を使ってしまう無計画な家計になっているのです。

正直に言えば、今の時点で慌てても、思うような改善はできないかもしれません。でも、少しでもお金が長持ちするよう、また年金生活でもやりくりして暮らしていけるためにも、支出を落とした暮らしを身につけることには意味があります。どうしたらいいか一緒に考えました。

住宅ローン(月9万7000円)はあと3年ですから、このまま。食費は外食を減らし、食材の無駄が出ないようにします(2万円減の月6万6000円に)。加えて月にいくらかかっているか把握するため、食費だけをノートに記録することにしました。現金であってもカードでも、同じノートに書いていきます。その上で、無駄だと思える支出があれば、次に繰り返さないよう気を付けます。

スマホはさらに契約プランの見直しをし(「通信費」月1万7000円→1万2000円)、ETCの使い方(「自動車関連費」月2万8000円→2万1000円)やクリーニングの利用(「被服費」月1万円→5000円)の仕方を再検討。小遣いは、たくさんほしいと言っている状況ではないため、夫分を1万円カット(4万円→3万円)します。妻も化粧品や美容室で贅沢をしている場合ではないので、その内容や利用頻度を検討します(月2万2000円→1万円)。有料テレビなど、元が取れない使い方をしているものは削減(視聴料含む「その他」、月2万4000円→1万7000円)していく方向です。

さらに、毎月の支出だけではなく、季節ごとにかかる塾の講習などの費用(「次男の教育費」月4万1000円)についても考えます。塾はお金をかけようと思えば、いくらでもかけられます。言われるがまま通うのではお金がかかるばかりですから、受験前の秋冬に手厚く通うなど、調整することが必要です。