複数人で車移動する場合は工夫して換気するべき

自分一人なのに、運転している人が感染対策でマスクをしているのを見かけますが、あれは必要ないなと思います。ただし、絶対安全と思われる人達以外の複数名で車に乗る際は、気をつけなければいけません。

米国からの報告ですが、全長6mの大型バンでドライバーが感染者でマスクを着用せず最後部の乗客が感染した事例がありました。マスクは必須です。その上で、車内の換気が重要です。

カーエアコンには、内気循環と外気導入があります。これを外気導入にしておけば、つねに新鮮な空気が入ってくると同時に、車内の汚れた空気を追い出してくれます。

窓を開けて換気する場合は、右ハンドルの車なら運転席と左後部座席といったように、対角線上にある2カ所を開けると、空気の流れができます。全開ではなく、5cmほど開けるのがポイントです。介護施設を利用する、例えば認知症の症状を持った人達の送迎バスはどうでしょう。

中にはマスクを嫌がる人も少なくないと聞きます。それでもお手上げではいけません。何もしないより、できる限りのことはすべきです。乗車前に口ゆすぎしてもらうとか、緑茶を口ゆすぎを兼ねて飲んでもらうとか、別の方面から考える工夫も大事です。

パーテーションで仕切るのはむしろ逆効果

マスクなしで後部座席に3人乗っているような場合は、信号待ちの間だけ窓を全開にする方法も組み合わせると効果的かもしれません。車内を、パーティションで仕切るタクシーをよく見かけます。

西村秀一『もうだまされない 新型コロナの大誤解』(幻冬舎)

あれは、狭い空間をさらに狭く使っていることになり、空気の流れを遮断しているので、換気を上手に組み合わせないとむしろ危険です。都市間バスなどで小さな下敷きのようなパーティションで、座席の顔の部分だけを分けたつもりのものをよく見かけますが、エアロゾル感染対策としてはほとんど意味がありません。

やっているふりのアリバイ的な対策であり、私はやめてもらいたいと思っています。

営業用、自家用に限らず、車内の空気をオゾンとか二酸化塩素ガスで殺菌していることになっている車もよく見かけます。しかし、オゾンや二酸化塩素ガスが有効に働くためには、ある一定の濃度と適切な湿度が必要であり、換気とはまったく相容れません。

換気しながら空間除菌を使うようでは、残念ながら、効果は最初から期待できないことになります。

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