自分の得意分野を見いだすコツ

「読む」「聞く」「書く」「話す」の4つの行動での自己分析が難しいときは、他人からの客観的な意見を聞くことで、自分では思いもしなかった一面を発見できることもあります。

ただしそのときに注意してほしいのが、「事実」と「評価」のちがいです。

弁護士をしていたとき、わたしは「事実」と「評価」をわけることの大切さを何度も教えられました。「評価」は人によって変わります。しかし、「事実」には主観が入らないため、別格の説得力を備えているのです。

たとえば、わたしはむかしから「頭がいいね」といわれてきました。でも、そんなものは「評価」に過ぎません。いったいどんな面を見てそう感じたのか、とてもあいまいなのです。

偏差値でしょうか、記憶力でしょうか。それとも発想力でしょうか。主観が入っているため、なんとでも解釈できますよね。

そこであるとき、わたしは「評価」を細分化して探っていくことにしました。そうしてたどり着いたのが、「繰り返しが得意」という、単なる「事実」だったのです。そして、これこそが自分の能力の本質でした。

本質をつかむことができれば、あとはそこを集中して伸ばしていけばいい。すると、人よりも秀でた結果を出すことができるはずです。

「自分の強みを磨くことに集中してほしい」

近ごろ、アウトプット能力の重要性がさまざまなところで主張されています。そのこと自体はなるほどと思う面もあり、アウトプットに秀でた能力を持っているのは素晴らしいことだと思います。

山口真由『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』(プレジデント社)

ただ、「アウトプットが得意」だとする人にありがちなのが、アウトプットした内容の根拠が弱かったり、具体性に乏しかったりして、話に説得力がないこと。なぜその結論にいたったのかを分析し、根拠を伝えられなければ、結論だけをただアウトプットしてもあまり意味はないと感じます。

そんなとき、勉強などで培われたインプット能力は裏切りません。とくに話が上手ではなくても、インプットした内容を理屈とともにていねいに伝えれば、多くの人を納得させることはできます。

もちろん、ビジネスシーンでのアウトプットには、強いメッセージを発することや、ある程度の「はったり」感も必要かもしれません。でも、この社会は、なにもアウトプット型の人間だけしか活躍できない場所ではないはず。

もし自分をインプット型だったり、内向的だと感じたりする人は、むしろその事実を正面から受け止め、自分の強みを磨くことにぜひ集中してください。

この社会は、インプット型の人間に対して、不利にできているわけではないのですから。

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