「読む」「聞く」「書く」「話す」で自分の得意分野を分析する

「自分の得意なことがよくわからない」

そんな人もいるかもしれませんね。たしかに、自分が好きなことであっても、それが「得意」なのかどうかというと、少しちがう場合があります。不得意なことに埋没しているならなお、自分が得意なものを客観的に見つけるのは難しいかもしれません。

そこで、自分の得意分野を見極めるために、わたしがよく使う方法を紹介します。

それは、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4つの行動で、自分のことを分析する方法です。

たとえば、わたしの場合は「読む」ことが圧倒的に得意ですが、一方で「話す」ことはかなり苦手。また、「聞く」ことも比較的得意ですが、「書く」ことはふつうといったところです。すると、自分は「読む」ことに特化したインプット型なのだととらえることができます。

そうなると、仕事としては、大量の資料をすばやく読む必要があり、かつクライアントに文書で回答することが多い企業法務専門の弁護士が選択肢に挙がるわけです。

逆に、官僚の仕事には、政治家に口頭で報告・説明する場面も多く、一流の官僚になるには「話す」能力がかなり求められるため、わたしには不向きであるともいえます。

まずはこの4つの行動を軸に、自分を分析してみてはいかがでしょう。

わたしが苦手は「話すこと」

仕事でのコミュニケーションにいえることですが、わたしはふだん電話ではなく、メールやチャットなどの手段を使うようにしています。最近では、「電話は相手の時間を奪う行為」といわれることもありますが、わたしが電話を使わない理由はそれではありません。

ただ、「話す」というアウトプットが苦手だから。

窓ガラスの向こうでスマートフォンで電話する女性
写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi
※写真はイメージです

つまり、同じアウトプットなら「書く」ほうがいいので、ちょっとした用事でも「書く」ことを中心にしたコミュニケーションにして、少しでも自分に良い状況をつくり出そうとしているのです。

仕事では、苦手なことでもやらなければならない状況はたくさんあると思います。そんなとき、もっとも避けたいのは「苦手なこと」に「苦手な方法」で取り組むこと。これではストレスも溜まるし、苦労の割に良い結果も期待できません。

そうではなく、「苦手なこと」は、自分の「得意な方法」で取り組む工夫をすべきなのです。

自分にとって少しでも良い状況を、自分でつくり出す力があれば、苦手な状況であってもつねに落ち着いて対処することができるはずです。