今年3月に、中国とロシアは月面基地建設計画で協力する政府間合意を交わしたが、宇宙ステーションで協力することも考えられる。

これまでも外交ツールとして利用

中国への対抗を強める米国にとって、宇宙に中国の拠点ができるだけでも刺激的なことだが、25年以降、自分たちが拠点を失い、中国だけが宇宙に滞在することになれば痛手は大きい。

ISSは、1998年から四十数回に分けて部品などを打ち上げて建設し、2011年に完成した。建設開始から歳月がたち老朽化も進んでいる。米トランプ前政権は、政府からの資金拠出を打ち切り、ISSを民間に移管する方針を打ち出していたが、中国の宇宙ステーション完成が近づく中、今後どうするか、米国、日本をはじめ各国が喫緊に検討すべき課題だ。

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すでに中国は宇宙ステーションを足場にして、国際協力を進めることを表明している。これまでも中国は宇宙を外交ツールとして利用してきた。途上国の衛星を打ち上げ、運用も担い、代わりに資源を獲得するといったやり方だ。

中国は宇宙ステーションを科学実験の場として各国に公開することを明らかにしている。国連宇宙部と協力して、実験テーマの募集を行い、2019年6月に日本、スイス、ドイツ、ロシア、サウジアラビアなど17カ国9プロジェクトを実験テーマに選んだ、と発表した。宇宙での中国の影響力がさらに大きくなると見られる。

開発計画を支える幅広さと継続性

それにしても20年ほどの間に、なぜ中国の宇宙開発は米国を脅かすほど強くなったのか。その鍵は、「幅広さ」と「継続性」にある。中国は、宇宙先進国の米国、ロシアをお手本に、自分たちも実際にやってみるという方法をとってきた。たとえそれが40年以上、あるいは20年以上前に米ロで実現した技術であってもだ。中国の宇宙開発プロジェクトにしばしば「既視感」や「レトロ感」が漂うのは、そのためだ。

1回だけで終わりにするのではなく、次の発展計画を持ち、体系的に進めていくのも特徴だ。例えば火星探査。現在の火星探査機の後は、2028年に火星から試料を採って地球に持ち帰る「サンプルリターン」を、50年には有人火星探査を実現させるという青写真を描いている。

月探査も同様だ。2007年に月を観測する衛星を打ち上げ、19年1月に世界で初めて月の裏側に探査機を着陸させた。20年12月には無人の月探査機が月の土壌試料を採取して地球に持ち帰る「サンプルリターン」を実施した。今後は、月への有人飛行、月面有人基地の建設という計画を立てている。