だが、近所の住人たちがBBCに話したところでは、ズルフィカルのアパートからはしばしば言い争う大声が聞こえ、あるときには、ナイフを持った男たちが道路でズルフィカルを脅している姿が目撃されていたという。
ズルフィカルのおじであるモハマド・ナゼールは、姪がプロポーズを断わったあとに2人の男と揉めており、「悲惨な結末」を迎えると脅されていたと本人から聞いたと、ガーディアン紙に語っている。
ジェンダー平等で世界ワースト3位
ベルギー国籍を持つズルフィカルは、家族の結婚式に出席するため、2カ月ほど前にロンドンからパキスタンへ渡った。家族はロンドンへ戻ったが、ズルフィカルはラホールにとどまることを決めたという。イギリス外務省は、家族への対応をベルギー大使館に引き継いだとBBCは報じている。
ズルフィカルの事件は、パキスタンで蔓延する女性への暴力を象徴している。「世界ジェンダーギャップ指数2020」では、パキスタンはジェンダー平等に関して世界ワースト3位とされており、女性の85%は、一生のどこかの時点でジェンダーに基づく暴力を経験する。パキスタンは、女性の健康と生存という点でも世界ワースト5位とされている。
ズルフィカルの葬儀はラホールで5月4日に執りおこなわれた。ウェストロンドンにある家族の自宅近くでも、祈りが捧げられた。