チャンスをつかむのに必要だったこと

2016年にDellとEMCが統合。組織も再編されて、藤森さんが所属するSE部門の中に2つの本部ができた。そのうち一つの本部において日本で新たな本部長が抜擢されることになったとき、アジア地域を統括する上司から「挑戦しないか」と声をかけられた。

藤森さんは「チャレンジしたい」と伝え、その上司も推してくれたが、選考に関わる他部署のキーパーソンとの関係性がなかったことから、最終的には彼らが昔から知っている人が採用され、藤森さんの希望はかなわなかった。今までは望めばかなってきたことが、かなわなかったことで、藤森さんは、ある学びを得たという。

「あのとき痛烈に感じたのは、今までの枠を超えて何かに挑戦しようと思うなら、自分が置かれているポジションで結果を出していくだけでは駄目だということです。自部署のみならず、役割以外でも、イニシアティブをとった実績やそこで築く人脈によって、自身のブランドをいかに確立していくかが重要なのだと知りました」

希望するポジションには就けなかったものの、そのあと通信分野でのSE部長職を新たに任された藤森さん。これも新たなチャレンジだと、できる限りのことを推進していく。そして、自身のブランド力を高めるために、さらに幅広いエリアでの人脈作りや活動を行うことも意識していった。その中で、顧客と一緒にビジネスを創出していくグローバルプロジェクトに積極的に参画したことで、社内外含めたグローバルな人脈が広がり、今までには経験がないほどの大きな枠組みでのアライアンスビジネスを、実践を通じて学ぶことができたと話す。この経験から、さらなる自信も生まれたそうだ。

部下の「理想のキャリア」を進めるために

2019年には、通信分野での実績が認められ、通信と金融の両方を担当するチームの本部長に昇進。それまでの経験を通して、管理職としての意識もより高まっている。

「部下のキャリアアップをかなえる、または進めるためにも、チームメンバーのブランド力を上げていく重要性を感じています。メンバーの実績やそのポテンシャル、その存在価値を常日頃から広めておくことで、チャンスが来たときにつかめる可能性が高まるからです。だからこそ、メンバーとは、どんなことに挑戦したいか、将来的にどう進みたいか、そのためにはどういう実績を成していくべきかなどを話し合い、私もマネジャーとして支援できることを尽くす。自分自身も何か挑戦したいことがあれば、周囲に伝えることを意識しつづけています」